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2024.07.16

不動産コラム

親の死後、実家をどうすればいいのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
特に、実家を放置しておくことのリスクや、処分する際の具体的な手順について、不安を感じている方もいるかもしれません。

この文章では、親の死後に実家を放置することによるリスクや、スムーズに処分するための具体的な手順を解説していきます。

もしかしたら、放置しておくのが一番良いと考えているかもしれません。
しかし、実家を放置しておくことは、様々なリスクを伴うことをご存知でしょうか。

この記事を読めば、親の死後、実家をどうすればいいのか、具体的なプランを立てられるでしょう。

□親の死後も家を処分せずに放置するとどうなる?

親の死後、相続などにより所有した家をそのまま放置してしまうと、様々なリスクが考えられます。
放置しておくと、固定資産税や維持管理費がかかり続け、火災や犯罪に巻き込まれる可能性も高まります。
さらに、急速な劣化によって家の価値が下がり、近隣住民に迷惑をかけることにも繋がるかもしれません。

1: 固定資産税や維持管理費がかかり続ける

家を放置していても、固定資産税は毎年発生します。
固定資産税は、地方自治体が課税する地方税のひとつで、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。

住んでいる人がいない状況で、活用されていない家に対しても、固定資産税を支払う必要があります。
そのため、放置している家は、大きなコスト負担となる可能性があります。

また、放置された家は行政から特定空き家として指定される可能性があり、特定空き家として指定されると、改善に対して指導などが入る場合があります。

特定空き家として指定されると、家の修繕のための維持管理費用が発生する可能性があり、これらのコスト負担もリスクになるといえるでしょう。

2: 火災や犯罪に巻き込まれる

家を放置しておくと、空き家であることが周囲に知られてしまい、不法侵入や放火などのリスクが高まります。

空き家は、不法侵入されて違法薬物の取引場所として使われたり、監禁されるといった犯罪に巻き込まれる可能性があります。

また、不審火などによる火災も懸念されます。
不法侵入者が火の取り扱いを誤って火災を引き起こしたり、放火犯に狙われたりする可能性も考えられます。

火災が発生した場合、所有者は火災に関する様々な費用を負担することになるため、大きなリスクといえるでしょう。

3: 放置することによる急速な劣化

家は、人が住むことによって自然と維持管理されています。
人が住むことにより、換気がされ、害虫や害獣の侵入を防いでいます。

しかし、人が住んでおらず長期間放置された状態だと、換気ができず、湿気がこもってカビが発生したり、木材が腐ったりする可能性があります。

また、アリやネズミなどの害虫や害獣が侵入し、建物の柱をかじってしまうこともあります。

放置された家は急速に劣化し、最悪の場合、廃墟化してしまう可能性も考えられます。

4: 近隣住民への迷惑

放置された家は、近隣住民に様々な迷惑をかける可能性があります。
例えば、ゴミが散乱したり、雑草が生い茂ったりすることで、景観を損なう可能性があります。

また、家が老朽化し、倒壊する危険性も考えられます。
倒壊した場合、近隣住民に怪我や物的損害を与える可能性もあり、大きな問題となるでしょう。

さらに、放置された家は、犯罪の温床となる可能性も高く、近隣住民の安全を脅かす存在となるかもしれません。

このように、親の死後、実家を放置しておくことは、様々なリスクを伴います。
放置することで、経済的な負担が増加するだけでなく、安全面や近隣住民への迷惑など、様々な問題が発生する可能性があることを理解しておく必要があります。

□家を処分する簡単な流れ

親の死後、実家を処分するには、まず相続手続きを経て、法的な権利を確立する必要があります。
相続手続きが完了したら、市場や自分に合った売却方法を選択し、不動産を処分します。

ここでは、一般的な「不動産仲介」を利用する方法と、「不動産買取」を依頼する売却方法の2つに大きく分けて解説していきます。
それぞれの方法には独自の流れがあり、効率的かつスムーズに実家を処分するためには、その手順を正確に理解することが重要です。

*不動産仲介で売る流れ

不動産仲介で売る流れは、大きく分けて以下の7つのステップがあります。

1: 仲介会社の選定

信頼できる不動産仲介会社を選び、契約を結びます。

2: 物件評価と価格設定

仲介会社が市場分析を行い、実家の適正な価格を設定します。

3: 販売準備

物件の清掃、必要に応じた修繕を行い、販売のための準備をします。

4: 広告と内覧

仲介業者が物件の広告を行い、買い手候補との内覧を調整します。

5: オファーと交渉

購入希望者からのオファーを受け、価格や条件について交渉します。

6: 契約

条件に合意したら、売買契約を締結します。

7: 決済と引き渡し

契約に基づいて決済を行い、物件を引き渡します。

*不動産買取で売る流れ

不動産買取は、不動産会社が直接物件を購入してくれる方法です。

不動産仲介と比べて、売却までの時間が短く、スムーズに売却できるというメリットがあります。

ただし、不動産仲介に比べて売却価格が低くなる場合があるというデメリットもあります。

不動産買取で売る流れは、大きく分けて以下の5つのステップがあります。

1: 買取会社への問い合わせ

買取会社に問い合わせ、見積もりを依頼します。

2: 物件の査定

買取業者が物件を査定し、買取価格を提示します。

3: 契約

買取価格に合意したら、売買契約を締結します。

4: 決済

契約に基づいて決済を行います。

5: 引き渡し

物件を引き渡します。

□実家をスムーズに処分するために

親の死後、実家をスムーズに処分するためには、事前に準備しておくことが大切です。

1: 相続手続きをスムーズに進める

相続手続きは、複雑で時間がかかる場合があるため、事前に準備しておくことが重要です。

2: 相続税対策

相続税対策は、相続が発生する前に計画的に行うことが重要です。

3: 不動産に関する知識を深める

不動産売却に関する知識を深め、売却方法や注意点などを理解しておきましょう。

□まとめ

親の死後、実家を放置しておくことは、様々なリスクを伴います。
固定資産税や維持管理費などの経済的な負担に加え、火災や犯罪に巻き込まれる可能性、急速な劣化による家の価値の下落、近隣住民への迷惑など、様々な問題が発生する可能性があることを理解しておく必要があります。

実家をスムーズに処分するためには、相続手続きをスムーズに進め、相続税対策を行い、不動産に関する知識を深めることが大切です。

この記事が、親の死後、実家をどうすればいいのか悩んでいる方の参考になれば幸いです。

2024.07.09

不動産コラム

「兄弟間での遺産相続、うまくいくか不安…」

そんな風に思っていませんか。

家族だからこそ、相続の際に感情が入り込みやすく、トラブルに発展してしまうケースは少なくありません。
特に兄弟姉妹間では、生前の関係性や貢献度、親からの愛情の受け取り方など、様々な要因が絡み合い、遺産分割協議が難航するケースも少なくありません。

しかし、事前に適切な対策を講じることで、兄弟間の遺産相続を円満に解決できます。

この記事では、兄弟間の遺産相続で起きやすいトラブルとその解決方法、そしてトラブルを避けるための具体的な対策について解説していきます。

ぜひ参考にして、トラブルを避けてください。

□兄弟間の遺産分割で起きやすいトラブル

兄弟姉妹間の遺産分割は、感情が入り込みやすく、トラブルに発展しやすいものです。
特に、以下のようなケースでは、注意が必要です。
ぜひ参考にして、失敗してしまわないようにしてみてください。

1: 遺産に占める不動産の割合が大きい

遺産に占める不動産の割合が大きい場合、その不動産の価値や分配方法をめぐって、兄弟姉妹間で意見が対立しやすくなります。

例えば、実家が不動産となっている場合、その不動産を誰が相続するか、それとも売却して現金で分配するか、といった問題が発生します。

また、不動産の価値が上昇している場合、相続人それぞれが自分の主張を強く主張し、話し合いが難航する可能性もあります。

2: 親から生前贈与があった兄弟姉妹がいる

親が生きている間に、ある兄弟姉妹にだけ多額の生前贈与を行っていた場合、他の兄弟姉妹から「不公平だ」と反発される可能性があります。

生前贈与は、相続税対策や贈与税対策として有効な手段ですが、相続が発生した場合には、他の相続人から「特別受益」として扱われる可能性があります。

特別受益とは、生前贈与を受けた者が、相続開始後に受け取るべき法定相続分を減額される制度です。

特別受益が認められない場合は、兄弟間で礼節をもって、温和に解決することを目指しましょう。
兄弟姉妹間となると、どうしても遠慮を欠いた物言いになりがちですが、それでは話し合いもスムーズに進みません。

3: 生前の親の介護の貢献度に差がある

兄弟姉妹間で、親の介護に貢献した度合いが大きく異なる場合、その貢献度をどのように評価するかでトラブルが発生する可能性があります。

例えば、ある兄弟姉妹が、親の介護のために仕事を辞めて長年献身的に介護していたのに対し、他の兄弟姉妹は、仕事や家庭の事情でほとんど介護に関われなかったというケースが考えられます。

このような場合、介護に貢献した兄弟姉妹は、その貢献度に見合った遺産を相続したいと主張する一方、そうでない兄弟姉妹は、法定相続分どおりに遺産を分配すべきだと主張する可能性があります。

話し合いでまとまらない場合は、家庭裁判所の手続において寄与分を求めることが可能ですが、思い通りに認められるケースは多くありません。

□兄弟の遺産相続争いを避けるために事前にできること

兄弟間の相続争いを避けるためには、事前にしっかりと対策を講じておくことが重要です。
ぜひ参考にしてみてください。

1: 法定相続人や財産を生前に明確にする

相続が発生する前に、誰が法定相続人になるのか、そして被相続人がどのような財産を持っているのかを明確にしておくことで、トラブルを未然に防げます。

具体的には、以下のような方法が考えられます。

・法定相続人全員で、遺産に関する情報を共有する。
・財産目録を作成し、相続人全員に開示する。

2: 遺言書を作成する

遺言書は、被相続人の意思を明確に示せる有効な手段です。
遺言書を作成しておくことで、相続発生後に兄弟姉妹間で争いが発生するのを防げます。

遺言書には、以下の2種類があります。

・自筆証書遺言:遺言者が全て自筆で作成し、署名と日付を記載した遺言書。
・公正証書遺言:公証人によって作成された遺言書。

遺言書の作成には、法律的な知識が必要となります。
専門家に相談し、適切な遺言書を作成することが重要です。

3: 生命保険の活用

生命保険は、相続対策としても有効な手段です。

例えば、被相続人が生命保険に加入し、死亡保険金を相続人に指定しておくことで、相続発生時に相続人に対して現金が支払われます。

死亡保険金は、相続財産の一部として扱われますが、遺言書で具体的な使途を指定しておくことで、遺産分割協議をスムーズに行えます。

□まとめ

兄弟間の遺産相続は、感情が入り込みやすく、トラブルに発展しやすいものです。
しかし、事前にしっかりと対策を講じておくことで、円満に解決することができます。

この記事で紹介した対策を参考に、ご自身の状況に合わせて適切な対策を検討してみてください。

相続は、人生における大きな転換期です。
家族との関係を良好に保ちながら、スムーズな相続を実現するために、専門家にご相談することをおすすめします。

2024.07.02

不動産コラム

不動産を相続した際に、手続きを自分で行うことを検討している方は多いのではないでしょうか。
専門家に依頼すれば安心ですが、費用が気になる方もいるでしょう。

この記事では、不動産相続手続きを自分で行うメリット・デメリット、具体的なステップ、そして注意点について解説します。
自分で手続きを進めたいと考える方の参考になれば幸いです。

□不動産相続手続きを自分で行うメリット・デメリット

不動産相続手続きを自分で行うことは、費用を抑えられるという大きなメリットがあります。
しかし、同時に、手間や時間、そしてミスが発生するリスクも伴います。
メリット・デメリットの両方をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

1: 費用削減

司法書士に依頼した場合、報酬として十万円程度の費用がかかります。
一方で、自分で手続きを行う場合は、戸籍の取得費用や登記費用などの実費のみで済むため、大幅なコスト削減が期待できます。

2: 手続き内容の理解

自分で手続きを進めることで、相続手続きの流れや必要な書類などを深く理解できます。
将来的に不動産に関するトラブルが発生した場合でも、自分で対応できる知識や経験を積めます。

3: 時間と手間

自分で手続きを行うには、多くの時間と手間がかかります。
相続人全員の同意を得たり、必要な書類を集めたり、法務局へ何度も足を運んだりするなど、煩雑な作業が予想されます。

4: ミスのリスク

相続手続きは法律に基づいた複雑な手続きです。
専門知識が不足していると、書類の記入漏れや間違いなど、ミスが発生する可能性があります。
ミスがあると、手続きが遅延したり、再提出が必要になったりするなど、さらなる時間と手間がかかってしまう可能性があります。

5: トラブルのリスク

相続手続きには、相続人同士のトラブルが発生するリスクも潜んでいます。
例えば、遺産分割の内容で意見が食い違ったり、相続人の中に手続きに協力しない人がいたりした場合、手続きが難航する可能性があります。

□不動産相続手続きを自分で進めるための簡単なステップ

不動産相続手続きを自分で行う場合、以下のステップを踏む必要があります。
ぜひ参考にして、スムーズに進めてみてください。

1: 相続財産の特定

まず、相続の対象となる不動産を特定する必要があります。
固定資産税の納税通知書や、市区町村役場で取得できる不動産の名寄帳などを参考に、被相続人が所有していた不動産を把握します。

2: 登記簿謄本の取得

登記簿謄本は、不動産の権利関係を証明する重要な書類です。
法務局の窓口、郵送、インターネットなどで請求できます。

3: 戸籍などの収集

被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍、原戸籍などの書類を収集する必要があります。
これらの書類は、相続人全員を特定し、相続関係を証明するために必要です。

4: 書類の確認

収集した登記簿謄本と戸籍などの書類を照らし合わせ、情報に間違いがないかを確認します。

5: 遺産分割協議

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を相続するかを決定します。
協議の結果をまとめた遺産分割協議書を作成します。

6: 相続登記申請

遺産分割協議が完了したら、相続登記の申請を行います。
法務局の窓口で申請書や必要な書類を提出します。

7: 登記完了

法務局が申請内容を審査し、登記が完了します。

□不動産相続手続きをスムーズに進めるための注意点

不動産相続手続きをスムーズに進めるためには、いくつかの注意点があります。

ぜひ参考にして、失敗を防止してみてください。

1: 早めの準備

相続が発生したら、なるべく早く手続きを開始することが重要です。
相続手続きには、多くの時間と手間がかかります。
早めに行動することで、手続きが遅延したり、トラブルが発生したりするリスクを軽減できます。

2: 専門家の活用

自分で手続きを進めることに不安がある場合は、司法書士などの専門家に相談することを検討しましょう。
専門家であれば、手続きの流れや必要な書類、注意点などを詳しく教えてくれます。

また、自分で進めると自分では気がつかない法務、税務上のメリットを享受できないといった、目に見えない部分での機会損失が発生しかねません。

3: 正確な情報収集

相続に関する情報は、法律や制度によって常に変化しています。
最新の情報を収集し、正しい知識に基づいて手続きを進めることが重要です。

4: 相続人との協力

相続手続きは、相続人全員で協力して進める必要があります。
相続人同士で意見が食い違う場合、話し合いを続け、合意形成を目指しましょう。

□まとめ

不動産相続手続きは、費用や時間、手間などを考慮すると、自分で行うことは簡単ではありません。
しかし、事前にしっかりと準備を行い、注意点などを理解していれば、スムーズに手続きを進められます。

この記事で紹介した情報を参考に、自分の状況に合わせて、専門家に依頼するか、自分で手続きを行うか、慎重に判断しましょう。

2024.06.25

不動産コラム

空き家を売却した後に確定申告が必要かどうか、手続きや書類について悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、空き家の売却に伴う確定申告についてわかりやすく解説します。
ぜひ最後までご覧ください。

□空き家の売却後に確定申告が必要な理由

空き家を売却した際に利益が出た場合は、その利益に対して譲渡所得税が課せられます。
そのため、確定申告が必要となります。

売却利益がなかったり、損失が出た場合は、基本的には確定申告は不要です。

しかし、損失が出た場合でも、確定申告を行うことで、給与所得などの他の所得と損益通算でき、節税になる場合があります。

1: 譲渡所得税とは

譲渡所得税とは、不動産や株式などの資産を売却して得た利益に対して課される税金です。

不動産を売却した場合、申告分離課税となり、確定申告した所得を他の所得と分離して計算し、所得額に応じて定められた税率で計算した税額を支払います。

2: 空き家を売却した際の譲渡所得の計算方法

空き家を売却して利益が出たかどうかは、以下の計算式で判断します。

譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 売却費用)

・取得費とは、空き家を取得した際に発生した費用です。
例えば、空き家の購入金額や仲介手数料などが挙げられます。

・売却費用とは、空き家を売却する際に発生した費用です。
例えば、売却時の仲介手数料や売買契約書に貼る印紙代などが挙げられます。

3: 取得費の計算における減価償却費

取得費を計算する際には、建物の減価償却費を差し引く必要があります。

減価償却費とは、建物の経年劣化により価値が減少することを考慮して、取得費から耐用年数に応じて価値の下落分を経費計上することです。

減価償却費の計算方法は、「定額法」と「定率法」の2種類がありますが、非事業用の空き家の場合は、基本的に定額法で計算します。

減価償却費 = 建物の購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

・償却率は、1年間で低下する価値の割合で、建物の構造によって異なります。

・建物の構造ごとの償却率については、国税庁ホームページで確認できます。

4: 譲渡所得税の税率

譲渡所得税の税率は、所有期間によって異なります。

・所有期間が5年を超える場合:20.315%(所得税と復興特別所得税15.315%、住民税5%)
・所有期間が5年以下の場合:39.63%(所得税と復興特別所得税30.63%、住民税9%)

所有期間は、売却した年の1月1日時点において5年を超えるかどうかで判断します。

□空き家の売却後の確定申告に必要な書類と手続き

空き家の売却に伴う確定申告に必要な書類と手続きについて、具体的なステップを踏まえて解説します。

1: 必要な書類

確定申告に必要な書類は以下のとおりです。

・確定申告書第三表(分離課税用)

空き家売却による申告では、分離課税用である第三表を使用します。

・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

収入金額、取得費、譲渡費用を記載したうえで、最終的な課税額を確定申告書第三表(分離課税用)に記入します。

・売買契約書のコピー

売却する物件を購入して取得していた場合、購入時の売買契約書と売却した際の売買契約書の双方のコピーが必要となります。

・登記事項証明書

登記事項証明書は、物件所在地を管轄する法務局以外にも、オンライン申請システムを利用して請求可能です。

これらの書類は、国税庁のHPから直接ダウンロードするか、税務署で直接入手できます。

2: 確定申告の手続き

空き家売却にかかる確定申告は、以下の手順で行います。

1. 必要書類の準備

確定申告をスムーズに行うためには、売却契約の文書や関連する領収書などを整理し、譲渡所得の詳細をまとめる必要があります。
この情報を基に譲渡収入や譲渡所得を計算し、確定申告書第三表に正確に記入しましょう。

空き家売却に関する申告には、第三表だけでなく、確定申告書B「第一表」「第二表」の提出も求められます。
第一表には年間の収益や所得、各種控除などを、第二表には詳しい所得の内訳や控除項目を記入します。

2. 税務署への書類の提出

申告書は、2月16日から3月15日までの間に提出する必要があります。
提出方法は、「e-Taxを利用したオンライン申告」と「税務署への直接または郵送による提出」の2つがあります。

e-Taxでの申告を選択する場合、国税庁のウェブサイトを利用して申告書を作成します。
ただし、利用者識別番号やマイナンバーカード、カードリーダーが必要となります。

郵送で提出する際は、「信書」として郵送する必要があります。
この場合、通信日付印が提出日と見なされるので、期限内に正しく送付することが大切です。

3. 納付

譲渡所得税の所得税分は、申告期間中に納付する必要があります。
さらに、5月ごろに住民税の納付書が届き、翌年の6月までに納付する必要があります。

□確定申告に関する注意点

確定申告は複雑な手続きが多く、ミスをしてしまう可能性もあります。
そのため、以下の点に注意して申告を行うようにしましょう。

1: 申告期限を守る

申告期限は、毎年3月15日です。
期限までに申告書を提出しないと、延滞税が課せられることがあります。

2: 必要書類を揃える

確定申告に必要な書類は、すべて揃えてから提出しましょう。
書類が不足していると、申告が受け付けられない場合があります。

3: 計算ミスを防ぐ

譲渡所得の計算は複雑なため、計算ミスを防ぐために、税理士などに相談することも検討しましょう。

4: 税務署への問い合わせ

確定申告に関する疑問点は、税務署に問い合わせましょう。
税務署では、確定申告に関する様々な情報を提供しています。

□まとめ

空き家を売却した際には、譲渡所得税が課せられるため、確定申告が必要となります。
確定申告は複雑な手続きですが、事前に必要な書類を揃え、手続きを理解することで、スムーズに申告を進められます。

確定申告に関する疑問点や不安な点がある場合は、税務署や税理士に相談することをおすすめします。

2024.06.15

不動産コラム

遺留分の問題は、遺言書によって財産分配が決定された場合でも、法定相続人に最低限保証される権利が影響を及ぼします。
家族の和を大事にし、紛争を避けたいと考える遺留分権利者にとって、遺留分の適切な理解と対処方法は極めて重要です。

そこで、今回の記事では、遺留分の簡単な説明と放棄するメリット、そして相続放棄との関係についてご紹介します。

□遺留分について

遺留分とは、一定の法定相続人に法律によって保障される最低限の遺産の取得権です。
この制度は、遺言による財産の分配があったとしても、一定の相続人が無視されることなく適切な保護を受けられるように設けられています。

1:遺留分の対象となる法定相続人

・配偶者

配偶者は、被相続人の配偶者であり、法律によってその遺留分の保護が特に重視されています。
配偶者は、被相続人との生活の多くを共にしてきた人物であるため、社会的・経済的保護が必要とされます。

・子供

被相続人の子供も遺留分の対象となり、これには実子のみならず、養子も含まれる場合があります。
子供たちが将来的に安定した生活を送れるよう、一定の遺産が保障されるべきとされています。

・親

被相続人の親も遺留分の対象となる場合があります。
これは、子供がいない場合に限られることが多く、親が老後を安心して過ごせるように支援を提供するためです。

2:遺留分の計算方法

遺留分の具体的な計算方法は、法定相続分の一定割合に基づいています。
遺留分の割合は、相続人の数や地位によって異なり、一般的には法定相続分の1/2または1/3とされています。

例えば、配偶者が1人のみの場合、その配偶者の遺留分は遺産の半分となります。
子供が複数いる場合は、それぞれの子供の遺留分は遺産の1/3となることが一般的です。

3:遺留分侵害額請求

遺留分が侵害されたと感じる法定相続人は、遺留分侵害額請求を行えます。
これは、遺言によって遺留分が侵害された場合や、遺産分割協議において不公平な取り扱いがあったと感じる場合に、法定相続人が行使できる権利です。

遺留分侵害額請求を行うには、まず遺産の総額を確定し、法定相続人の権利がどの程度侵害されているかを計算し、適切な補償を求めることが必要です。

このように、遺留分は法定相続人の経済的基盤を保護し、不公平な遺産分配を防ぐための重要な制度です。
遺言が存在する場合でも、遺留分の請求によって法定相続人の最低限の権利が保護されることを理解し、適切に行動することが求められます。

□遺留分を放棄するメリットとは

遺留分の放棄は、遺留分権利者が自発的にその権利を放棄することを意味します。
ここでは、遺留分を放棄することのメリットをいくつか解説します。

1:遺言による分配がスムーズに

遺留分を放棄することで、被相続人の意向が記された遺言に基づく財産分配が円滑に進行します。
これにより、家族間の争いを未然に防げます。

2:紛争のリスク低減

遺留分を放棄することで、将来的に起こりうる遺産に関する紛争を回避できます。
これは、特に家族関係を大切にする遺留分権利者にとって大きなメリットとなります。

3:相続人間の和解と関係の維持

遺留分を巡る争いは、しばしば家族関係を悪化させます。
遺留分の放棄は、遺産をめぐる潜在的な対立を解消し、家族間の和解と関係維持を助ける選択肢となり得ます。

□相続放棄と遺留分の関係について

相続放棄は、相続人が法的に遺産全体を放棄する行為です。
この選択を行うことにより、放棄した相続人は、まるで相続が発生する前からその相続人が存在しなかったかのように扱われ、相続権だけでなく遺留分権も含めて放棄されます。

ここでは、相続放棄を選択することが遺留分にどのような影響を与えるかについてご説明します。

1:遺留分権の完全な喪失

相続放棄を行うと、その人の遺留分権利も同時に失われます。
これは、その相続人が法的に相続全体から手を引いたことを意味し、遺留分を含む一切の権利を放棄することになります。

2:相続構成の変更

相続放棄によって相続人が1人減ると、残された相続人間での遺産分配割合が変わります。
これは、遺産の再分配により、他の法定相続人の取得部分が増加することを意味します。
相続放棄は、多くの相続人に影響を及ぼす可能性があるため、事前に家族間で十分な話し合いが必要です。

また、相続放棄は、一度決定してしまうと通常は撤回できません。
そのため、この選択を行う時には、個人の財産状況や将来の計画・家族間の関係など、多岐にわたる要素を綿密に検討する必要があります。
特に、遺留分の放棄はその人の法的な権利を大幅に削減するため、法的助言を受けることも重要です。

遺留分の放棄や相続放棄は、ただ財産を放棄するだけでなく、家族関係に深い影響を及ぼす可能性があります。
相続放棄が家族間の紛争を防ぐ一助となることもありますが、逆に不和の原因となることも考えられるからです。

そのため、家族とのコミュニケーションを保ちながら、全員が納得できる解決策を見つけることが望ましいです。

□まとめ

相続放棄と遺留分の関係は、個人の問題では済まないため、家族や親戚などの相続人を含めて考える必要があります。
相続放棄は遺留分権を含む多くの権利を放棄する決断であり、遺留分権利者が相続全体を放棄することで、自身の権利だけでなく家族間の法的なバランスにも大きな変動をもたらす可能性について注意しましょう。

2024.06.08

不動産コラム

相続に関する手続きは、一般の方にとっては非常に複雑で分かりにくいものです。
法的な知識が必要であり、間違った手続きを行ってしまうと、後々のトラブルに発展する可能性もあります。

そこで今回は、相続割合の基礎知識とその計算方法、法定相続が適用されないケースについてご紹介します。

□相続割合とは?

相続割合、または相続分は、遺産をどのくらいの比率で相続するかを示す数値です。
この割合は相続人の間で遺産がどのように分割されるかを決定するための基準となります。
相続割合は、故人の意志(遺言)または法律によって定められ、相続手続きにおいて中心的な役割を担います。

相続割合を定めることは、相続人間の公平を保ち、争いを避けるために極めて重要です。
故人の意志が遺言で明確に示されていない場合、法律に定められた法定相続割合に従って遺産が分割されます。
この割合は、相続人の法的な権利を保護し、各人が受け取るべき遺産の量を公平に決定するためのものです。

相続割合には、「指定相続割合」と「法定相続割合」の2種類があります。

指定相続割合は、故人が遺言で具体的に定めた相続の割合で、この割合には特定の財産を特定の相続人に渡す指示が含まれることもあります。
指定相続割合が存在する場合、その指示には法的な拘束力があり、相続人はこれに従う必要があります。

一方、法定相続割合とは、遺言がない場合に適用される、法律に基づく相続の割合で、民法には相続人のカテゴリーごとに割合が明確に定められており、配偶者・子・親などの法定相続人がそれぞれの割合で遺産を受け取ります。

□法定相続人とその割合の計算について

法定相続人とは、遺言がない場合に法律によって自動的に相続権が認められる人々のことを指します。
相続法には明確な規定があり、それに基づいて遺産が分割されます。

ここでは、主な法定相続人のカテゴリーと、それぞれの割合の計算方法について簡単に説明します。

1:主な法定相続人とその相続割合

・配偶者と子

配偶者と子がいる場合の相続では、配偶者が2分の1、残りの2分の1を子どもたちが均等に分け合います。
子が複数いる場合、子どもたちで残りの2分の1を等分します。

・配偶者と直系尊属(親や祖父母)

配偶者と直系尊属が相続人である場合、配偶者は3分の2、直系尊属は3分の1を相続します。
直系尊属が複数いる場合も、彼らは合計で3分の1を分け合います。
これにより、配偶者が主な保護を受ける一方で、親等も適切な配分を受けることになります。

・配偶者と兄弟姉妹

配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合、通常、配偶者が4分の3を、兄弟姉妹が残りの4分の1を相続します。
このケースでは、兄弟姉妹は直系の血縁よりも遠いため、より少ない割合となり、配偶者の保護が強調されます。

2:相続割合の計算例と解説

相続割合の計算には、具体的な数値を用いて明確に理解することが重要です。
例えば、故人の遺産が1000万円あった場合を考えます

・配偶者1人・子2人の場合

この場合は、配偶者は1000万円の2分の1である「500万円」、その子どもたちは1000万円の残り2分の1である500万円を2で割り、各子に「250万円」ずつが割り振られます。

・配偶者1人・親2人の場合

この場合、配偶者は1000万円の3分の2である「(約)666万円」、親は1000万円の残り3分の1 である334万円を2で割り、各親に「167万円」ずつ割り振られます。

相続の過程では、上記のような計算が公平な遺産分割を確保するために不可欠です。

また、相続人間での話し合いによって、これらの法定相続割合からの変更を合意することも可能です。

□法定相続割合が適用されない問題とは

法定相続割合は基本的な割合を示していますが、特定の状況下ではこれが適用されない場合があります。
ここでは、そのような例外的なケースについて解説します。

1:遺言書による指定

故人が生前に遺言を残し、その遺言で具体的な相続人や相続割合や特定の財産の分配を指定していた場合は、その遺言の指示が優先されます。
遺言書は故人の最終的な意志を反映するものであり、合法的な形式で作成されていれば、法定相続割合に優先して適用されます。

2:遺産分割協議の合意

相続人全員が遺産の分割について合意形成を行い、その合意に基づく分割協議が成立した場合、合意した内容に従って遺産が分割されます。
この協議による合意は、相続人間の関係や具体的な遺産の内容を考慮して柔軟に調整が可能で、法定相続割合と異なる割合での遺産分割が行われることもあります。

3:特別受益の考慮

相続人の中で特定の者が故人から生前に贈与を受けていた場合、その贈与は特別受益と見なされ、相続分から差し引き可能です。
この計算により、他の相続人との間で公平性を保つため、特別受益を受けた者の相続分が減額されることがあります。

4:寄与分の調整

相続人が故人の療養看護や事業への寄与など、特別な貢献をしていた場合、その貢献度に応じて相続分を増やせる「寄与分」の制度があります。
これは相続人の不公平を是正し、故人との関係性や貢献度を適切に反映するために用いられます。

ここで解説した4つの特例は、法定相続割合だけでは対応しきれない独特な事情や個々の貢献を考慮に入れるために設けられています。
相続は非常に複雑なものであり、これらの特例が適用されることで、より公平かつ円滑な遺産分割が実現されるのです。

□まとめ

今回の記事では、相続割合と法定相続人の割合・法定相続割合が適用されない例外について解説しました。
相続割合は、遺言書や相続人間の合意・特別受益や寄与分などによって変動する可能性もあることをあらかじめ理解しておくことが大切です。

2024.06.01

不動産コラム

誰もが歳を取るにつれて考えるタイミングが増えるのが、遺産相続です。
自分自身の財産については当たり前ですが、親の財産についても考える方は多いかもしれません。
 
その中でも特に、相続人がいない方にとっては、ご自身の財産をどうするかについては、非常に興味深いのではないでしょうか。
 
そこで、今回の記事では、相続人不存在の状況下での法的な意味と手続き、さらには税金に関する情報について簡単にご紹介します。
 

□相続人不存在ってどういうこと?

 
相続人不存在とは、亡くなった人(被相続人)の遺産を受け継ぐ法定相続人が1人も存在しない状態を指します。
この状況には、法定相続人がすでに亡くなっている、あるいは法的な理由で相続権がない場合や、可能な相続人がすべて相続放棄を行った場合が、相続人不存在として当てはまります。
 
このような状況は、相続財産の扱いや法的手続きにおいて通常のケースとは大きく異なり、特別な対応が必要とされます。
 
1:法定相続人がいない場合
 
法定相続人とは、民法によって自動的に相続権を持つことになっている親族を指し、これには配偶者、子供・孫・親・兄弟姉妹などが含まれます。
これらの親族がすでに亡くなっていたり、存在しない場合、相続人がいないとみなされます。
 
2:相続放棄で相続人がいなくなった場合
 
相続人がいても、相続放棄をすることで相続権は放棄可能です。
相続放棄は、負の遺産(借金をはじめとする負債)が原因で相続を望まない場合に行われることが一般的で、すべての法定相続人が相続放棄をした場合、法的に相続人が存在しない状態として扱われます。
 
3:欠格・廃除で相続人がいない場合
 
法定相続人がいたとしても、重大な犯罪を犯したり、被相続人に対して重大な不義行為を働いたりした場合、法律によって相続権を剥奪されることがあります。
これを相続人の欠格または廃除と呼びます。
 

□相続人不存在の場合の相続税って?

 
通常、相続税は相続財産の価値に基づいて計算されますが、相続人がいない特殊な状況では、その手続きには異なるアプローチが必要です。
 
ここでは、相続人が不存在の場合に知っておきたいことを解説します。
 
1:相続財産の管理
 
法定相続人が一切いない場合、相続財産は国庫に帰属する可能性があります。
ただし、その前に家庭裁判所は相続財産管理人を指名して財産の管理と適切な処分を行います。
 
2:特別縁故者への財産分与
 
被相続人に特別な縁故がある者がいる場合、裁判所はこれらの個人に相続財産の一部を分与することを許可することがあります。
例としては、被相続人の長期にわたるパートナーや面倒を見ていた人などが挙げられます。
 
3:相続税の計算
 
財産が特別縁故者に財産が分与された場合、その財産の価値に基づいて相続税が計算されます。
この時、相続税の申告期限や基礎控除などの規定が適用されますが、これらは通常の相続とは異なる場合が多いため、注意が必要です。
 
4:相続税の申告
 
特別縁故者が財産を受け取ることになった場合、相続税の申告は財産を受け取った日から数えて10か月以内に行う必要があります。
また、特別縁故者が相続税を支払う際には、通常の法定相続人とは異なる加算税率が適用されることがあります。
 

□生前から相続人が不存在の場合はどうすれば良い?

 
相続人が存在しないケースでは、生前対策が非常に重要です。
被相続人が生前に行える準備により、遺産の扱いや法的な手続きを円滑に進められます。
 
ここでは、生前から相続人不存在の状況を想定した場合にどのような対策を講じるべきかについてご説明します。
 
1:遺言書の作成
 
生前から相続人が不存在であることがわかっている場合は、遺言書を作成し、自身の財産を誰にどのように分配するか明記することが基本です。
遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言がありますが、公正証書遺言の方が法的効力が高く、争いを防ぐ効果も期待できます。
 
この遺言書には、特定の友人・遠縁の親族、または慈善団体など、財産を相続させたい個人や団体を明記できます。
 
2:特別縁故者の指定
 
特別縁故者への財産分与を遺言で指定することで、国庫に帰属することなく、意図した個人に財産を引き継げます。
この場合、特別縁故者として親戚や長年の友人、世話をしてくれた人などが考えられます。
 
遺言書にこれらの人々への指名を含めることで、彼らが財産を継承する法的根拠を作れるのです。
 
3:死後事務委任契約
 
死後事務委任契約を結ぶことで、自分の死後の諸手続きを信頼できる第三者に委任可能です。
死後事務委任契約には、葬儀の手配や未解決の財務処理・遺言の執行などが含まれ、この契約を通じて、遺言の執行者や特定の弁護士が、被相続人の意向に従って行動することが確実になります。
 
4:財産の事前分配
 
可能であれば、生前に財産を直接手渡しすることも選択肢の1つです。
これには、現金の贈与や不動産の移転などが含まれますが、贈与税の影響を考慮する必要があります。
 
生前にこれらの対策を講じることで、相続人不存在の状況においても、被相続人の意志が尊重され、財産が適切に管理されることが保証されます。
また、これらの対策は、遺産が法的な問題に巻き込まれることを防ぎ、スムーズな遺産の移転を助けるためにも非常に有効といえます。
 

□まとめ

 
相続人不存在の状況においては、生前の準備が非常に重要です。
適切な遺言書の作成・特別縁故者の指定・死後事務委任契約の締結、そして可能であれば財産の事前分配を検討することで、自分の意思に基づいた財産の管理と分配を確実に行えます。
 
これらの対策を行うことで、予期せぬ法的問題を避け、スムーズな遺産処理を実現できるのです。

2024.05.25

不動産コラム

多くの国で問題とされている空き家問題。
その中でも、少子高齢化が急速に進んでいる日本では、空き家の増加が顕著で、特に実家を空き家として残す家族や相続人にとっては、それをどのように扱うかが大きな問題となります。

そこで、今回の記事では、空き家となった実家をどのように処分するか、その具体的な方法と売却までの流れ、空き家を相続することのデメリットをご紹介します。

□実家を処分する方法

空き家問題への対策として、多様な選択肢が提供されていますが、現実的な選択肢は限られています。
ここでは、実家を処分するための主な方法とその検討点について説明します。

1:売却

売却は、実家を市場に出すことで、土地や建物の価値を金銭的に回収できる主な方法です。
仲介業者を通じて行うと、適正な市場価格で売却できますが、市場の状況に左右されるため、不況時には思うような価格で売れないリスクがあります。
また、売却までのプロセスが長引くことも少なくありません。

2:解体

建物が老朽化している場合、解体して土地だけを売却する選択肢もあります。
土地の価値をより直接的に評価してもらえる可能性がある半面、解体には高額なコストがかかり、さらにその後の土地の固定資産税が上がるデメリットもあります。

また、解体後の土地の活用計画がなければ、単に負担が増えるだけになるリスクも留意が必要です。

3:貸し出し

実家を賃貸物件として貸し出すことで、定期的な収入を得られる可能性があります。
管理が行き届けば、資産価値の維持にもつながる一方、テナントの管理や建物のメンテナンスが必要となり、これには時間とコストがかかります。
また、入居者が見つからない期間は収入が途絶え、経済的負担が増える可能性もあります。

4:寄付や公共の利用

空き家を自治体に寄付することで、地域社会に貢献する方法もあります。
ただし、寄付した不動産は公共の施設として利用されますが、寄付は所有者にとって直接的な金銭的利益はありません。

また、寄付を受け入れるための条件が合わない場合、自治体が受け入れを拒否することもあります。

□空き家を売却するなら知っておきたい売却までのステップ

空き家となった実家の売却は、計画的に進めることが重要です。
ここでは、空き家の売却を効率良く進めるために知っておきたい、7つのステップをそれぞれ簡単にご説明します。

1:遺産分割について話し合う

相続が発生した場合、まずは相続の権利のある人で遺産分割について話し合います。
この時、誰がどの資産を相続するかを決定し、特に不動産の扱いについては慎重な議論が求められます。
直接会う以外にも、メールやリモートツールを使って話し合いを進める方法はあるため、遠方の縁者の方でも場所を問わずに参加できます。

2:名義変更と登記手続き

実家の名義を相続人に変更するためには、相続登記が必要です。
この手続きを進めるためには、法務局や司法書士との連携が不可欠で、名義変更後に、不動産の売却活動を開始可能になります。

3:仏壇や遺品の処理

実家からの仏壇の移動や遺品の整理は、内覧前に完了しておくべき作業です。
特に仏壇は、適切な方法で移動させる必要があり、これには専門的な手続きが伴います。

4:境界確認作業

土地の境界確認は、隣地とのトラブルを避けるために重要です。
確定測量を行い、必要に応じて法務局に境界変更の登記を申請します。
この作業には、専門家の立ち会いが必要なため、独断で行うのは避けましょう。

5:価格査定と市場分析

不動産会社に依頼して、実家の価格を査定します。
査定は、周辺地域の市場価格や土地の特性を考慮して行われ、最適な売出し価格を決定します。

6:売却活動と契約

適切な売却価格と販売戦略が決定された後、不動産会社は積極的な売却活動を展開します。
購入希望者が現れた場合は、条件交渉を経て売買契約を締結します。

7:クロージングと引渡し

売買契約が成立し、すべての法的手続きが完了した後、最終的な決済と物件の引渡しを行います。
この段階で、売却までの流れは正式に終了します。

□親の生前に処分できずに空き家を相続するとどうなる?

空き家を相続することは多くの場合、避けるべき状況ですが、しばしば避けられない事態として発生します。
ここでは、空き家を相続することになった場合に直面する可能性のある複数の問題と、その解決策について解説します。

1:固定資産税の増加

空き家の相続には、固定資産税の増加が伴います。
建物が存在しない更地の場合、固定資産税が上昇するため、経済的な負担が増大します。

2:維持管理の問題

空き家は定期的な維持管理が必要ですが、放置されると急速に劣化します。
この維持管理には時間とコストがかかり、しばしば相続人の負担となる場合があるため、注意が必要です。

3:犯罪や事故のリスク

空き家は犯罪の対象となりやすく、不法侵入や放火のリスクがあります。
これらを防ぐためには、定期的な巡回や適切なセキュリティシステムの設置がおすすめです。

4:地域社会との関係

空き家は地域社会においても問題視されることが多く、近隣住民とのトラブルに発展することもあります。
地域のイベントや自治会などに積極的に参加し、良好な関係を維持する努力が求められます。

□まとめ

実家を相続する際には、それをどのように処分または利用するかを慎重に考慮することが重要です。
空き家のまま放置すると、法的・経済的・社会的なリスクが増大するため、売却や賃貸、時には解体といった適切な処分方法を選択することが望ましいです。

今回の記事で紹介した内容を参考に、空き家の処分方法について改めて見直してみましょう。

2024.05.24

不動産コラム

空き家の処分に悩む所有者にとって、売却は大きな選択肢の1つです。

しかし、売却方法にはそれぞれメリットとデメリットがあり、どの方法を選ぶべきか迷うことも少なくありません。

そこで、今回の記事では、空き家売却の選択肢として「そのまま売却する」・「更地にして売却する」・「不動産会社に買い取ってもらう」の3つの方法と、売却においての注意点、空き家を放置するリスクについてをご紹介します。

□空き家売却の3つの方法とは

空き家を放置することは、管理の手間や資産価値の低下、さまざまなトラブルのリスクを伴います。
空き家の所有者が直面する1つの大きな課題は、その財産をどのように処分するかの点です。
ここでは、空き家の売却をする方法として、3つの方法をそれぞれ解説します。
ぜひ参考にして売却を成功させてください。

1:そのまま売却

この方法は、空き家を現状のまま売り出す方法です。
築年数が浅ければ「中古住宅」として、築年数が多ければ「古家付き土地」として市場に出せます。

この選択肢の魅力は、解体にかかる費用や手間を省略できる点にあります。
また、購入者がリフォームやリノベーションを望む場合、現状の家を活かしたいと考える人にとって魅力的なオプションともいえます。

2:更地にして売却

次に、空き家を解体して更地にし、その土地として売り出す方法があります。
更地にすることの最大のメリットは、買い手が直接建築プロジェクトを始められる点です。
解体には費用がかかりますが、土地としての価値を高め、売却を促進することが期待できます。
ただし、解体後の土地の税金が高くなる可能性がある点は注意が必要です。

3:買取を依頼する

最後に、不動産会社に空き家を直接買い取ってもらう方法もあります。
この方法の大きな利点は、迅速な売却が可能であることです。
短期間での現金化を望む場合に特に適していますが、市場価格より低い価格での取引となる可能性がある点は留意が必要です。

□空き家売却時の注意点

空き家を売却する際には、いくつかの重要なポイントがあります。
特にスムーズな売却を目指す上で、名義変更の確認・価格設定の戦略・売却期間の見積もりは欠かせない要素です。
ここでは、空き家売却時の注意点を3つ簡単に解説します。

1:空き家の名義変更ができているか確認を

空き家を売却する前には、必ず名義人がご自身の名前になっているかを確認しましょう。
名義人が被相続人(亡くなった方)のままだと、売却が行えないため、名義変更が必要です。
名義変更の手続きには時間がかかることもあるため、早めの行動を心がけましょう。

2:価格を設定する時は少し高めに

空き家の販売価格を決める時には、少し高めに設定することが一般的です。
これは、買主が必ず値下げ交渉をしてくるため、その交渉に対応しても適切な価格で売却できるようにするためです。
また、市場の動向を把握しながら柔軟に価格設定を見直すことも大切です。

3:空き家を売却するには時間がかかることを覚悟する

空き家の売却には時間がかかることを覚悟しておく必要があります。
特に、立地や物件の状態によっては、売却までに長い期間を要することもあります。
この間にかかる固定資産税や維持費などのコストも考慮に入れ、長期戦を覚悟しておくことが重要です。

□空き家を放置するリスクとは

空き家をそのままにしておくことは、多くのリスクを伴います。
特に、管理の手間やコスト・資産価値の低下、そしてさまざまなトラブルが発生する可能性があります。
これらのリスクを理解し、早期に売却や適切な処置を検討することが大切です。

1:管理の費用や手間がかかる

空き家は、人が住んでいないと急速に劣化することがあります。
定期的な換気や通水、そして保守メンテナンスが必要ですが、これらには手間とコストがかかります。
特に遠方に住んでいる場合、これらの作業を行うことが困難になることもあり、管理コストが嵩むことが懸念されます。

2:資産価値が下がる

空き家を長期間放置することは、その資産価値を大きく下げる原因になります。
建物が老朽化してしまうと、売却時には価値がほとんどない「古家付き土地」としての扱いになり、解体費用がかさむこともあります。
早期に売却することで、より高い価格での売却が期待できます。

3:トラブルのもとになる

空き家は、防犯上のリスクや、自然災害時の倒壊リスクなど、さまざまなトラブルの原因となります。
放置された空き家は不法侵入の対象となることもあり、近隣住民との間でトラブルに発展することも少なくありません。
適切な管理や早期の処置を行うことで、これらのリスクを回避可能です。

□まとめ

空き家売却の選択肢として「そのまま売却」・「更地にして売却」・「不動産会社に買い取ってもらう」という3つの方法がありますが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

早期に適切な売却方法を選択し、空き家の処分を検討することが、これらのリスクを回避し、所有者の資産価値を守る上で重要です。
今回の記事が、空き家の売却を検討している所有者の方々に有益な情報を提供できれば幸いです。

2024.05.14

不動産コラム

相続や投資によって空き家を所有している人々は、売却時にかかる税金の計算と節税に関する正確な情報を求めています。
空き家を売却する時には、さまざまな税金が発生し、それらを理解して適切に対処することが求められます。

そこで、今回の記事では、空き家売却時にかかる税金の基本と、確定申告を通じた節税のポイントをご紹介します。

□空き家売却かかる税金とは

1:譲渡所得税とは

空き家を売却する時には、主に譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、売却によって得られる利益(譲渡所得)に対して課税される税金で、所得税(復興特別所得税を含む)と住民税で構成されます。

譲渡所得の計算式は「譲渡所得=譲渡収入金額−(取得費+譲渡費用)」で求められます。

譲渡収入金額は、土地や建物を売却した時に受け取る対価の総額・取得費は売却する不動産を取得するのにかかった費用・譲渡費用は売却にあたってかかった費用を指します。

2:譲渡所得税の税率

譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間に応じて異なります。
所有期間が5年超の場合の税率は、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。

一方、所有期間が5年以下の場合の税率は、所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%となります。

このように、空き家を売却する際には、売却益がある場合に限り譲渡所得税が課税されます。
売却によって損失が出た場合は、譲渡所得税を納める必要はありません。

また、所有期間が長いほど税率が低くなるため、税負担を軽減するためには所有期間を意識することが重要です。

□空き家売却に確定申告は必要?

空き家を売却した時の譲渡所得の計算には、取得費と売却費用の正確な理解が必要です。
特に、取得費には土地や建物の購入費用の他、取得時にかかった各種税金や仲介手数料なども含まれます。

また、建物については設備費や改良費を加え、減価償却費を差し引いた金額が取得費となります。

3:取得費の計算方法

取得費の計算には、以下の項目が含まれます。

・土地の取得費

土地購入費用に加え、購入時にかかった税金や仲介手数料などの諸経費を合算します。

・建物の取得費

建物購入費用・設備費・改良費に加え、減価償却費を差し引いて計算します。

4:売却費用の計算方法

売却費用には、不動産を売却する際にかかる以下のような費用が含まれます。

・不動産仲介会社への仲介手数料
・売主が負担する印紙税
・登記にかかった費用
・立退料や違約金など

これらの費用を売却時の譲渡所得から差し引くことで、実際に課税される譲渡所得を計算します。

5:確定申告の必要性

空き家を売却して利益が出た場合は、その利益に対して譲渡所得税が課されるため、確定申告が必要とされます。

一方、売却で損失が出た場合は、確定申告をすることで、他の所得と損益通算を行い節税可能です。
確定申告は、売却した年の翌年の3月15日までに行う必要があります。

このように、空き家を売却する際には、正確な取得費と売却費用の計算が重要です。
また、利益が出た場合には確定申告を通じて適切に税金を納めることが求められます。

さらに、確定申告を活用することで節税のチャンスもあるため、売却計画を立てる際にはこれらのポイントを念頭に置くことが重要です。

□空き家売却に必要な確定申告の流れ

空き家を売却した後、確定申告を行うことで税金の正確な計算と納付を行います。
このプロセスは、空き家売却によって得た譲渡所得に対して適切な税金を納めるために重要です。
確定申告の流れは以下のように進めます。

1:必要書類の準備

空き家を売却する過程で生成される売却契約書や領収書など、関連する全ての書類を集めます。
これらの書類は、譲渡所得の計算や、確定申告書の記入に必要な情報を提供します。
また、譲渡所得の計算には、不動産の取得費や売却に伴う費用なども含まれるため、これらの費用に関連する書類も準備する必要があります。

取得費には、不動産の購入時にかかった費用や改修費用が含まれ、売却費用には仲介手数料や広告費などが考慮されます。

2:税務署への書類提出

準備した書類を基に、確定申告書を作成します。
確定申告書は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に税務署に提出する必要があります。

提出方法は2つあり、1つ目はe-Taxを通じたオンライン提出です。
これにはデジタル証明書やマイナンバーカードが必要になる場合があるため、事前に用意しておきましょう。

2つ目は、直接税務署へ提出する方法で、郵送での提出も可能です。
どの方法を選択するにせよ、正確な情報を提供し、期限内に提出することが重要です。

3:納付

確定申告書の提出と同時に、計算された所得税を納付します。
住民税に関しては、確定申告後、各自治体から納税通知が届きますので、指示に従って納税してください。

税金の納付は一括、または分割払いが可能で、納付方法は納税通知書に記載されています。

□まとめ

空き家売却時の譲渡所得税計算と確定申告は、節税を図りながら法律に則った適切な税金の納付を行うために欠かせません。
確定申告のプロセスを通じて、譲渡所得に対する税金を正確に計算し、必要な書類を準備して税務署に提出することが求められます。

また、譲渡損失が発生した場合には、確定申告をすることで他の所得との損益通算を利用した節税が可能になります。
空き家売却を検討している場合には、これらのポイントを押さえ、計画的に対処することが重要です。

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