ブログ
BLOG
2024.10.02
不動産コラム
空き家相続は、誰もが直面する可能性のある課題です。
大切な故人の残した財産である空き家は、放置すればするほど様々なリスクが潜んでいます。
特に、相続税の負担や近隣トラブル、資産価値の低下など、深刻な問題に発展する可能性も。
しかし、適切な対策を講じることで、これらのリスクを回避し、空き家を有効活用することも可能です。
この記事では、空き家相続に関する税金対策、放置することによるリスク、そして賢く活用する方法を解説していきます。
□空き家相続での税金はどうなる?
相続した空き家の税金対策は、放置すると損をしてしまう可能性も秘めているため、しっかりと理解しておくことが重要です。
特に、空き家は誰も住んでいない状態か、被相続人と同居または今後も居住用として利用していくかで大きく税金が変わってきます。
1: 誰も住んでいない空き家の場合
誰も住んでいない空き家は、残念ながら「小規模宅地等の特例」が適用されないため、相続税評価額のすべてが課税対象となります。
この特例は、亡くなった方の自宅を相続する場合に適用されるもので、相続する土地のうち330㎡までなら相続税評価額の80%が減額対象となるため、大幅な節税効果が期待できます。
しかし、誰も住んでいない空き家は、この特例が使えないため、全額課税されてしまうのです。
2: 被相続人と同居または今後も居住用として利用する場合
一方、被相続人と同居していた場合、または今後も居住用として利用していく場合は、「小規模宅地等の特例」が適用される可能性が高く、税額を大幅に減額できる場合があります。
具体的には、同居親族がおり、自宅として活用していれば、特例が適用される可能性があります。
しかし、親の介護が必要だから一定期間だけ同居するケースや、親族が住んでいるものの、別居状態になっている場合は、特例が適用されない可能性があるため注意が必要です。
3: 特例適用には条件がある
小規模宅地等の特例は、適用されるための条件が細かく、複雑です。
そのため、相続税申告前に税理士などに相談し、適切な手続きをとることが重要となります。
□空き家を資産として活用する方法
空き家は放置しておけば、資産価値が下がる一方です。
しかし、適切な活用方法を見つけることで、貴重な資産に変えることも可能です。
売却、賃貸、自身での居住など、様々な方法があります。
1: 売却する
空き家に資産価値がある場合は、売却を検討してみましょう。
売却することで、まとまった資金を得られ、相続税対策にも役立ちます。
2: 賃貸する
賃貸に出すことで、安定した収入を得られます。
しかし、賃貸にする場合は、初期費用やリフォーム費用、管理費用などが発生します。
また、賃貸物件としての管理責任も発生するため、注意が必要です。
3: 自身で居住する
空き家を自身で居住用として利用することも有効な選択肢です。
相続した空き家の所在地によっては、売却や賃貸が難しい場合もあるため、自身で住むことで、所有を続けながら、特定空家に指定されるリスクを回避できる可能性もあります。
4: 寄付する
空き家を国や地方公共団体、特定の公益法人などに寄付することも可能です。
寄付することで、相続税の非課税財産に該当し、税金対策に役立ちます。
ただし、寄付には様々な条件があるため、事前に詳しく確認が必要です。
□空き家を放置することによる5つのリスク
空き家を放置すると、様々なリスクが伴います。
近隣トラブル、管理費負担、資産価値の下落、固定資産税の負担増加、特定空家に指定されるリスクなど、放置すればするほど問題が深刻化する可能性があります。
1: 近隣トラブルの原因になる
空き家は、放置すると近隣住民とのトラブルに発展する可能性があります。
ゴミの不法投棄や、害虫・害獣の発生、倒壊による被害など、様々なトラブルが起こりえます。
2: 管理やメンテナンス等の手間や維持費がかかる
空き家は、所有者が管理・メンテナンスをする義務があります。
しかし、遠方に住んでいる場合や、高齢で管理が困難な場合は、管理費用がかかってしまう可能性があります。
3: 放置すればするほど建物の資産価値が落ちる
空き家を放置すると、建物の劣化が進み、資産価値が下落していきます。
築年数が経過するにつれて、売却価格も下がってしまいます。
4: 固定資産税・都市計画税を継続的に支払う必要がある
空き家を所有している限り、固定資産税・都市計画税を毎年支払う必要があります。
特定空家に指定されると、これらの税金が大幅に増額される可能性もあるため、注意が必要です。
5: 特定空家に指定されるリスク
特定空家に指定されると、固定資産税が最大6倍に跳ね上がることがあります。
特定空家は、倒壊の危険性や衛生上の問題、景観の悪化など、放置することで社会問題となる可能性のある空き家を指します。
□まとめ
空き家相続は、税金対策や有効活用方法、放置することによるリスクなど、様々な課題を抱えています。
この記事では、これらの課題について解説し、空き家相続に対する不安を解消するための具体的な対策を紹介しました。
相続を控えている方や、すでに相続した方は、この記事で紹介した情報を参考に、早めに対策を検討することをおすすめします。
2024.09.25
不動産コラム
マイホームを売却して次の住居を探している、これから不動産売却を検討している、あるいは不動産売却による税金対策に関心がある方へ。
不動産売却は人生における大きな決断であり、同時に税金面での注意点もつきものです。
特に気になるのは、売却によって住民税が上がる可能性でしょう。
この記事では、不動産売却によって住民税が上がる仕組みと節税対策までを解説します。
□不動産売却で住民税は上がる?
不動産売却によって得た利益は「譲渡所得」として課税対象となり、翌年の住民税が上がる可能性があります。
住民税は、前年の所得に基づいて計算されるため、不動産売却による譲渡所得が加わることで、翌年の住民税額が増加するのです。
1: 住民税が上がる仕組み
住民税は、都道府県民税と市区町村民税の総称で、私たちが住んでいる地域に納める税金です。
会社員の場合、給与から毎月天引きされているため、あまり意識していない人も多いかもしれません。
しかし、不動産売却によって発生した譲渡所得は、給与所得とは別に申告する必要があるため、翌年の住民税額に影響を与える可能性があるのです。
2: 住民税が上がる具体的な例
例えば、1,000万円のマンションを売却し、売却益が500万円だったとしましょう。
この500万円が譲渡所得となり、翌年の住民税の計算対象となります。
住民税の税率は、所得によって異なりますが、仮に10%とすると、500万円の10%である50万円が住民税として追加で支払う必要があるのです。
3: 住民税が上がることを理解することの重要性
不動産売却によって住民税が上がる可能性を理解することは、売却後の生活設計を立てる上で非常に重要です。
売却によって得た利益が税金によって減ってしまうことを事前に把握しておくことで、資金計画や将来の生活費を見直せます。
また、適切な節税対策を検討することで、税金負担を軽減し、より多くの資金を手元に残すことも可能です。
□不動産売却による住民税の計算方法
不動産売却による住民税は、売却益から必要経費を差し引いた金額を基に計算されます。
必要経費には、不動産取得費用、売却費用、修繕費用などが含まれ、これらの費用を差し引くことで、課税対象となる「譲渡所得」が算出されます。
1: 譲渡所得の計算方法
譲渡所得は以下の計算式で求められます。
譲渡所得 = 売却価格 - 取得価格 - 必要経費
例として、マンションを1,000万円で購入し、1,500万円で売却した場合を考えましょう。
売却価格:1,500万円
取得価格:1,000万円
必要経費:50万円(不動産取得税、仲介手数料など)
この場合、譲渡所得は、1,500万円 - 1,000万円 - 50万円 = 450万円となります。
2: 住民税の計算方法
譲渡所得が確定したら、住民税の計算を行います。
住民税の税率は、所得によって異なります。
例えば、東京都の場合、所得が330万円以下であれば、税率は5%です。
上記例で譲渡所得が450万円の場合、東京都の税率5%で計算すると、住民税は450万円 × 5% = 22万5千円となります。
3: 住民税の納付時期
住民税は、不動産売却を行った翌年に納付します。
これは、住民税が前年の所得に対して課税されるためです。
□不動産売却の住民税を軽減する節税対策
不動産売却による住民税を軽減するために、いくつかの節税対策があります。
ここでは、特例や控除制度を紹介します。
1: マイホーム売却時の3,000万円特別控除
マイホームを売却した場合、譲渡所得から3,000万円を控除できる特別控除制度があります。
この制度を利用することで、税金負担を大幅に軽減できる場合があります。
2: 長期譲渡所得の軽減税率
10年以上所有したマイホームを売却した場合、軽減税率が適用されます。
通常、長期譲渡所得の税率は5%ですが、譲渡所得が6,000万円までの部分は4%に引き下げられます。
3: 住居用財産の買い換え特例
マイホームを売却して新たに購入した場合、売却した家の譲渡所得は新たに購入した家を売却するときまで加算されない特例があります。
この特例を利用することで、税金支払いを延期できます。
4: 譲渡損失の損益通算
住宅ローンが残っているマイホームを売却し、売却価格が取得価格を下回った場合、譲渡損失が発生します。
この場合、他の所得と損益通算を行うことで、所得税や住民税を軽減できます。
5: 節税対策の専門家への相談
上記の特例や控除制度は、それぞれ条件や手続きが複雑です。
自分の状況に合った適切な節税対策を行うためには、税理士などの専門家に相談することがおすすめです。
専門家のアドバイスを受けることで、無駄な税金負担を防ぎ、より有利な売却を進められます。
□まとめ
不動産売却による住民税は、売却益から必要経費を差し引いた譲渡所得に対して課税されます。
住民税の計算方法や税率は、地域や所得によって異なるため、事前にしっかりと理解しておくことが重要です。
不動産売却は、人生における大きな決断です。
税金面だけでなく、さまざまな角度から検討し、後悔のない選択をしてください。
2024.09.17
不動産コラム
空き家を相続することになったものの、どのように対処すれば良いか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。相続手続きや税金について詳しくない人にとって、空き家相続は不安の多い問題です。
このブログでは、空き家相続に潜む問題点と、具体的な対策方法、そして相続前に確認すべきポイントを分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、あなたも安心して空き家相続の手続きを進められるようになるでしょう。
□空き家相続デメリット
誰も住む予定がなく使い道のない空き家を相続してしまった場合、どのような問題が発生するのか整理していきましょう。
発生するリスクが高い問題は、以下の6つです。
1: 定期的なメンテナンス等の維持費がかかる
空き家は、人が住んでいないため、時間の経過と共に劣化していきます。
屋根や外壁の塗装、水回りの修理など、定期的なメンテナンスは欠かせません。
放置しておくと、修理費用が膨大になる可能性もあります。
2: 今までの火災保険には加入できなくなる
空き家であっても、火災や盗難などのリスクは依然として存在します。
しかし、人が住んでいたときの火災保険をそのまま引き継ぐことはできません。
空き家用の火災保険に加入する必要があり、場合によっては保険料が高くなる可能性もあります。
3: 行政代執行により取り壊し費用が請求される場合がある
空き家を放置しておくと、近隣住民への迷惑行為や景観の悪化につながる可能性があります。
そのような場合、行政から空き家の撤去を命じられることがあります。
行政代執行が行われた場合は、取り壊し費用を請求される可能性もあるため注意が必要です。
4: 固定資産税が6倍になってしまう可能性がある
空き家を放置していると、特定空き家や管理不全空き家に指定される可能性があります。
特定空き家や管理不全空き家になると、固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、固定資産税が大幅に高くなる可能性があります。
5: 人口減少により将来的に売却や活用が難しくなる恐れがある
人口減少が進む中で、空き家の売却や活用はますます困難になっています。
将来的に売却しようとしても、買い手が見つからない可能性もあります。
6: 空き家にも相続税がかかる
空き家は、通常の土地や建物と同様に、相続税の対象となります。
空き家を相続した場合は、相続税を支払う必要があることを覚えておきましょう。
□空き家相続対処法
では、空き家を相続したときはどのように対処するのが適切なのでしょうか。対処法として次の6つの方法を紹介します。
1: 相続から3年以内に売却する
相続した空き家を売却する場合、相続開始から3年以内に売却することで、譲渡所得税の計算時に「空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除」が適用できる可能性があります。
この特例は、空き家を売却した際に得られる利益から3,000万円を差し引くことができるため、税金の負担を軽減することができます。
2: 賃貸物件として貸し出す
空き家を賃貸物件として貸し出すのも有効な方法です。
毎月家賃収入を得ることができるため、維持費を賄うことができます。
ただし、賃貸物件にするためには、リフォームやハウスクリーニングなどの初期費用がかかります。
また、入居者募集やトラブル対応など、管理の手間も発生します。
3: 自分で住む
空き家を自分で住むことも可能です。
特定空き家に指定されるのを回避することができます。
しかし、空き家は老朽化している場合が多く、リフォーム費用が大きくかかる可能性があります。
また、空き家周辺の環境や利便性を考慮する必要があるでしょう。
4: 解体して土地を活用する
空き家を解体して土地を活用するのも一つの選択肢です。
土地を売却したり、駐車場やアパートなどを建設したりできます。
ただし、解体費用は高額になるため、事前に費用を調べておく必要があります。
5: 寄付をする
空き家を、個人、法人、自治体などに寄付することも可能です。
寄付することで、空き家の維持費や固定資産税の負担から解放されます。
ただし、寄付する場合は、贈与税が発生する可能性があるため、事前に税理士に相談することをおすすめします。
6: 相続放棄をする
相続開始前に、空き家を相続したくない場合は、相続放棄をすることも可能です。
相続放棄をすることで、空き家にかかる費用をすべて放棄することができます。
ただし、相続放棄は、すべての財産を放棄することになります。
空き家以外にも財産がある場合は、相続放棄をする前に慎重に検討する必要があるでしょう。
□空き家相続前に確認すべきこと
実際に空き家を相続する前に、次のポイントを確認してから判断しましょう。
1: 誰が相続するのか
空き家を誰が相続するかによって、今後の管理方法や活用方法が変わってきます。
相続人全員で話し合い、誰が相続するのが最適なのか、どのように管理していくのか、明確に決めておくことが重要です。
2: どれくらいの費用がかかるのか
空き家を相続すると、固定資産税や都市計画税などの税金、メンテナンス費用、管理費用など、様々な費用が発生します。
相続前にこれらの費用をしっかりと見積もり、どれくらいの費用がかかるのかを把握しておく必要があります。
3: 空き家以外にどんな財産・負債があるか
空き家だけでなく、預金や株式などの財産、住宅ローンなどの負債も相続対象となります。
空き家以外の財産や負債を把握し、相続全体の状況を理解した上で、空き家の相続について判断する必要があります。
4: 資産価値や需要があるか
空き家の資産価値や需要を把握することは、相続後の売却や活用を考える上で重要です。
資産価値が高い空き家は、売却することでまとまった資金を得ることができます。
しかし、資産価値が低い空き家は、売却が難しく、維持費の負担が大きくなる可能性があります。
5: 優遇措置を活用できるか
空き家の相続には、税金を軽減できる優遇措置がいくつかあります。
例えば、「空き家の譲渡所得3,000万円特別控除」や「小規模宅地等の特例」などです。
これらの優遇措置を活用することで、税金の負担を軽減することができます。
相続前にこれらの優遇措置について、税理士に相談することをおすすめします。
□まとめ
空き家相続は、様々な問題や課題を抱えています。
しかし、事前にしっかりと準備しておけば、安心して相続手続きを進めることができます。
この記事で解説した6つの問題点、6つの対処法、そして5つの確認ポイントを参考に、相続に関する情報を集め、適切な対策を検討してください。
相続は人生における大きなイベントです。
専門家のアドバイスを積極的に活用し、家族で話し合って、最善の決断を下せるよう、準備を進めていきましょう。
2024.09.08
不動産コラム
相続で空き家を相続したあなた、節税対策は万端ですか。 特に、空き家を売却する場合には、3000万円の特別控除を活用することで、大幅な税金軽減が期待できます。
しかし、この特別控除は、適用条件が厳しく、手続きも複雑なため、どこから手をつければいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、相続空き家の3000万円特別控除の特例について、適用条件、手続き、注意点などをわかりやすく解説していきます。
これを読めば、あなたも安心して手続きを進め、節税対策を成功させることができるはずです。
□空き家相続3000万円控除の特例とは?
相続で空き家を相続した場合、条件を満たせば3000万円の特別控除が適用され、税金が大幅に軽減される制度があります。
これは、空き家の増加や老朽化による防災上の問題などを解消するため、国が設けた特例措置です。
しかし、この制度は2023年12月31日を最後に終了することが決まっています。
そのため、適用を検討している方は、早めの行動が必須です。
1: 特例の内容
相続した空き家を売却する場合、原則として売却益に対して譲渡所得税が課税されます。
しかし、この特例を利用することで、売却益から3000万円を控除できるため、税金が大幅に軽減されるのです。
2: 特例の目的
この特例は、老朽化した空き家の増加による防災上の問題や、空き家を取り巻く社会問題の解決を目指しています。
具体的には、
・空き家の適切な管理と有効活用を促進する
・空き家による防災上のリスクを軽減する
・地域の活性化に貢献する
といった効果が期待されています。
3: 特例を活用するメリット
相続空き家の3000万円特別控除の特例を活用することで、以下のようなメリットが得られます。
・税金負担の軽減
・空き家の売却をスムーズに進めることができる
・売却後の資金計画を立てやすくなる
ただし、この制度は、適用条件が厳しく、手続きも複雑です。
そのため、事前にしっかりと情報を収集し、専門家と相談しながら手続きを進めることが大切です。
□空き家相続3000万円控除の特例を受けるための条件
3000万円の特別控除を適用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
1: 建築時期の要件
特例の対象となるのは、1981年5月31日以前に建築された建物です。
これは、旧耐震基準で建てられた建物が、耐震性不足や老朽化による倒壊リスクが高いことから、その解消を目的としています。
2: 居住実態の要件
相続発生直前まで、被相続人が1人でその空き家に居住していたことが必要です。
つまり、相続前に賃貸していたり、複数の家族で住んでいた場合は、特例は適用されません。
3: 売却期限の要件
相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。
ただし、制度終了に伴い、2023年12月31日が最終期限となっています。
4: 耐震リフォームまたは解体の要件
特例を適用するには、空き家を耐震リフォームするか、解体して売却する必要があります。
これは、耐震性の低い空き家をそのまま売却することを防ぎ、安全性を確保するためです。
5: 区分所有建物の除外
マンションなど、区分所有建物は特例の対象外です。
6: 譲渡価格の要件
土地・建物の譲渡価格が1億円以下である必要があります。
7: 売却先の要件
親族や同族会社に売却する場合は、特例は適用されません。
□空き家相続3000万円控除の特例の手続きと必要な書類
3000万円の特別控除を受けるためには、確定申告が必要となります。
1: 手続きの流れ
確定申告を行うためには、以下の手続きが必要となります。
・被相続人居住用家屋等確認書の交付申請
・売却に関する書類の収集
・確定申告書の提出
2: 必要な書類
確定申告に必要な書類は、以下の通りです。
・被相続人居住用家屋等確認書
・売買契約書
・登記事項証明書
・耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書
・電気やガスの閉栓証明書
・水道の使用廃止届出書
・老人ホームの入所契約書(該当する場合)
□空き家相続3000万円控除の特例を受ける際の注意点
3000万円の特別控除は、適用条件が厳しく、注意点もいくつかあります。
1: 納税額がゼロ円でも確定申告が必要
特例の適用を受けるためには、必ず確定申告を行う必要があります。
控除によって所得がなくなり、税額がゼロ円になった場合でも、申告は必須です。
2: 贈与などで建物を事前取得している場合は適用外
相続の開始の直前時点で、所有者が居住者以外だった場合は、特例は適用されません。
3: 店舗や倉庫は適用対象外
特例の対象となるのは、居住用家屋のみです。
店舗や倉庫などは対象外となります。
4: 建物を解体した場合の賃貸
建物を解体した後、敷地を賃貸した場合も、特例は適用されません。
5: 複数年での売却
複数年にわたって売却する場合も、合算した金額が1億円以下である必要があります。
□まとめ
空き家相続3000万円控除の特例は、適用条件が厳しく、手続きも複雑ですが、活用すれば税金負担を大幅に軽減できます。
制度終了が迫っているため、適用を検討している方は、早めの行動が大切です。
この記事では、空き家相続3000万円控除の特例について、適用条件、手続き、注意点などを解説しました。
特例を活用することで、相続した空き家の売却をスムーズに進め、節税対策を成功させることができます。
しかし、複雑な制度であるため、専門家と相談しながら手続きを進めることをおすすめします。
2024.09.01
不動産コラム
不動産売却によって得た利益によって、翌年の住民税がどれくらい増えるのか不安に思っている、不動産売却を検討しているあなたへ。
この記事では、不動産売却後の住民税の仕組みについて、具体的な計算方法や納付時期、さらには節税対策まで、分かりやすく解説していきます。
不動産売却後に発生する住民税について、疑問や不安をお持ちの方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
□不動産売却後の住民税はいつ払う?
不動産を売却した後、住民税の支払いについて、いつどのように納付すればいいのか、具体的な流れを見ていきましょう。
1: 納付時期:売却した翌年の6月以降
不動産売却によって得た利益は「譲渡所得」として扱われ、この所得に基づいて翌年の住民税が計算されます。
そのため、住民税の納付は、不動産を売却した翌年の6月以降となります。
2: 確定申告:売却した翌年の2月16日から3月15日
住民税の納付前に、売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行う必要があります。
確定申告では、譲渡所得を計算し、税務署に申告します。
3: 「普通徴収」と「特別徴収」の選択
確定申告の際に、住民税の納付方法として「普通徴収」と「特別徴収」のいずれかを選択する必要があります。
普通徴収:売却した翌年の6月に、市区町村役場から住民税納付書が送られてきます。
納付は、6月と8月、10月、翌年1月の4回に分けて行うのが一般的ですが、6月中の一括納付も可能です。
特別徴収:企業や団体に勤務している場合に選択できる方法で、月々の給与から住民税が天引きされます。
ただし、住民税額によっては、会社側に知られたくない場合もあるため、注意が必要です。
□不動産売却と住民税の関係
不動産売却によって得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、この所得によって翌年の住民税が上がる可能性があります。
住民税は、前年の所得に基づいて計算されるため、不動産売却によって発生した譲渡所得によって、翌年の住民税が上昇するのです。
1: 譲渡所得の計算方法
譲渡所得は、以下の計算式によって算出されます。
譲渡所得 = 収入金額(売却価格) - (取得費 + 譲渡費用)
収入金額(売却価格):不動産が売れた金額です。
取得費:不動産を購入した価格と購入にかかった費用(登録免許税、不動産取得税、仲介手数料など)の合計です。
譲渡費用:不動産売却にかかった費用(仲介手数料、広告費、司法書士費用など)です。
2: 住民税の計算
住民税は、譲渡所得を含む前年の所得に基づいて計算されます。
住民税の税率は、所得金額によって異なります。
住民税は、所得税と同様に、国税と地方税に分かれます。
3: 住民税の負担が大きくなるのは一時的
不動産売却によって翌年の住民税が上昇しますが、これは一時的なものです。
翌々年には、例年の水準に戻ります。
□不動産売却時の節税方法
不動産売却によって発生する税金は、適切な対策を講じることで軽減することができます。
以下に、具体的な節税方法をご紹介します。
1: 売却のタイミングを見極める
不動産を売却するタイミングによって、税金が大きく変わります。
所有期間が5年以上の場合: 所得税・住民税の税率が下がるため、5年以上の所有期間を経過してから売却するのがおすすめです。
土地を急いで高く買いたい人がいる場合: 5年未満でも、すぐに売却した方が良い場合があります。
2: 3,000万円の特別控除
自分が住んでいた家または土地を売却する場合、譲渡所得から3,000万円が控除される「3,000万円の特別控除」という特例があります。
一定の要件を満たす必要があります。
(国税庁ホームページで詳細を確認してください)
この特例を利用することで、3,000万円までの利益は税金がかかりません。
3: 相続税を支払った場合の取得費加算
相続税を支払った場合は、相続税の申告期限から3年以内に売却すると、取得費に相続税額を加算することができます。
課税対象となる譲渡所得が減り、税金を抑えることができます。
4: マイホームが建っていた土地を相続した場合の特例
相続開始から3年を経過する日の属する年の年末までに、マイホームが建っていた土地等を売却した場合は、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けることができます。
取得価格が不明な土地などの場合、特例を利用することで大きく節税できます。
5: その他の特例
公共事業や土地区画整理事業のために土地を売却した場合
平成21年~22年に取得した土地を売却した場合
一定の要件を満たす場合
上記の特例を利用することで、税金を減らすことができます。
□まとめ
不動産売却後の住民税は、売却した翌年の6月以降に納付します。
売却した翌年の2月16日から3月15日までに確定申告を行い、住民税の「普通徴収」と「特別徴収」のいずれかを選択する必要があります。
不動産売却によって得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、この所得によって翌年の住民税が上がる可能性があります。
住民税は、前年の所得に基づいて計算されるため、不動産売却による譲渡所得によって翌年の住民税が上昇するのです。
不動産売却時の節税方法としては、売却のタイミングを見極めることや、3,000万円の特別控除、相続税を支払った場合の取得費加算、マイホームが建っていた土地を相続した場合の特例など、さまざまな方法があります。
これらの方法を活用することで、税金を抑えることができます。
不動産売却後の住民税について、不安な点や疑問点がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
2024.08.25
不動産コラム
不動産売却は、人生における大きなイベントの一つです。
人生設計を見据え、新たな章を始めるための第一歩となることもあれば、思い入れのある住まいを手放す決断となることもあります。
いずれにしても、売却後の手続きや税金に関する知識は、スムーズな移行を図る上で欠かせません。
特に、不動産売却後の住民税は、多くの人が頭を悩ませる問題の一つです。
売却によって得た利益に対して課税される住民税は、毎年の納税額に大きな影響を与える可能性があり、適切な計算方法や軽減策を知っておくことは、経済的な安定を保つ上で重要です。
この記事では、不動産売却後の住民税について、具体的な計算方法から節税対策まで、わかりやすく解説していきます。
この記事を読めば、不動産売却後の住民税に関する疑問が解消され、安心して次のステップへと進むことができるでしょう。
□不動産売却後の住民税はいつ払うの?
不動産売却後の住民税は、売却翌年の6月以降に納付します。
具体的には、会社員など給与収入がある場合は、特別徴収で、給与から天引きされます。
一方、自営業者など、自分で納税する場合は、普通徴収で、6月頃に自治体から納付書が届き、4期に分けて支払います。
1: 特別徴収:会社員や公務員など、給与所得者が該当します。
給与から住民税が天引きされるため、自分で納付する必要はありません。
ただし、売却益によって所得が増加するため、翌年の給与から天引きされる住民税額が増加する可能性があります。
2: 普通徴収:自営業者や年金受給者など、給与所得以外の人が該当します。
6月頃に自治体から納付書が届き、4期に分けて納付します。
納付期限は、6月、8月、10月、翌年1月の末日となります。
3: 納付方法の選択:原則として、住民税の納付方法は、給与所得がある場合は特別徴収、それ以外は普通徴収となります。
しかし、個々の状況によっては、納付方法の変更が可能な場合があります。
例えば、自営業者でも、一定の条件を満たせば、特別徴収を選択できる場合があります。
納付方法の詳細については、税務署や市町村役場にご相談ください。
□不動産売却による住民税の計算方法
住民税は、不動産売却による譲渡所得額に応じて計算されます。
譲渡所得額は、売却金額から取得費、減価償却費、譲渡費用を差し引いた金額です。
この譲渡所得額に税率を乗じると住民税額が算出されます。
1: 譲渡所得の計算方法:譲渡所得額を計算するには、以下の式を使用します。
譲渡所得額 = 売却金額 - (取得費 - 減価償却費) - 譲渡費用
・売却金額:不動産を売却した金額です。
・取得費:不動産を取得した際に支払った金額です。
・減価償却費:建物などの固定資産に対して、経年劣化などを考慮して計算される費用です。
・譲渡費用:不動産売却に伴い発生する費用です。
仲介手数料、登記費用、広告費などが含まれます。
2: 税率:住民税の税率は、所得金額によって異なります。
一般的な税率は、10%~10.5%です。
ただし、住民税には、特別控除や特例が適用される場合があります。
3: 具体例:例えば、1,000万円で取得した不動産を2,000万円で売却した場合、譲渡所得額は、2,000万円 - 1,000万円 = 1,000万円となります。
税率が10%の場合、住民税額は、1,000万円 × 10% = 100万円となります。
□不動産売却後の住民税の負担を軽減する方法
不動産売却による住民税の負担を軽減するには、控除や特例を有効活用することが重要です。
例えば、居住用財産の譲渡による特別控除など、様々な特例が用意されています。
また、ふるさと納税を活用することで、住民税の控除限度額が大きくなるため、節税効果が期待できます。
1: 居住用財産の譲渡による特別控除:長年住んでいた家を売却する場合、一定の要件を満たせば、最大3,000万円の特別控除が受けられます。
この控除により、譲渡所得額が減少し、住民税の負担を軽減することができます。
2: ふるさと納税:ふるさと納税は、寄附した金額に応じて、住民税が控除される制度です。
不動産売却によって所得が増加した年には、控除限度額が大きくなるため、節税効果が高まります。
ただし、ふるさと納税は、確定申告が必要となります。
3: その他の控除・特例:不動産売却には、居住用財産の譲渡による特別控除以外にも、様々な控除・特例が用意されています。
例えば、相続した不動産を売却した場合の特別控除、平成21年または22年に取得した土地を売却した場合の特別控除などがあります。
これらの控除・特例は、それぞれの要件を満たす必要があります。
□まとめ
この記事では、不動産売却後の住民税について、具体的な計算方法から軽減策まで解説しました。
売却後の住民税は、納付時期や計算方法、軽減策など、理解しておきたいポイントが数多くあります。
住民税の計算方法を理解し、控除や特例を有効活用することで、売却による税金の負担を軽減することが可能です。
この記事を参考にして、安心して不動産売却を進めてください。
不動産売却は、人生における大きな転換期です。
税金に関する知識を深め、安心して新たなスタートを切ることができるよう、計画的に準備を進めましょう。
2024.08.15
不動産コラム
親が亡くなり、土地を相続したけれど、名義変更の手続きが複雑で、どこから手をつければいいか分からない…。
そんな悩みをお持ちのあなたへ。
この記事では、土地の名義変更の手続きを分かりやすく解説し、スムーズに相続登記を進められるようサポートします。
相続登記は、亡くなった方の土地を相続人が自分の名義に変更する手続きです。
2024年4月からは、相続登記が義務化され、手続きを怠ると過料が科せられるようになりました。
この記事では、相続登記の必要性や手続きの流れ、必要な書類などを詳しく解説していきます。
□被相続人が死亡した場合の土地の相続手続き
親が亡くなり、土地を相続した際に、必ず行わなければならないのが「相続登記」です。
相続登記とは、亡くなった方の土地の名義を相続人の名義に変更する手続きのこと。
2024年4月からは相続登記が義務化され、手続きを怠ると10万円以下の過料が科せられるようになりました。
*なぜ相続登記が必要なのか
相続登記は、単なる手続きではなく、相続人が土地の所有者であることを明確にする重要な手続きです。
相続登記がされていない状態では、以下のような問題が発生する可能性があります。
1: 土地の所有者が不明瞭になる
相続登記がされていない場合、土地の所有者が誰なのかが分からなくなります。
2: 土地を売却したり、担保にしたりすることが難しくなる
土地の所有者が不明瞭だと、売却や担保などの取引がスムーズに行えません。
3: 将来、相続が発生した場合に権利関係が複雑になる
相続登記がされていない土地を相続した場合、相続人が複数人いると、権利関係が複雑になってしまい、スムーズに相続手続きを進めることが難しくなります。
4: 所有者不明土地の問題に繋がることがある
相続登記がされないまま放置されると、所有者不明土地となり、社会問題に繋がることがあります。
*2024年4月からの相続登記義務化
相続登記は、2024年4月1日より義務化されました。
相続人が不動産を相続したとき(遺産分割があった場合には、遺産分割成立の日)から3年以内に申請しなければなりません。
□なぜ名義変更が必要なのか?
相続登記は、土地の所有者を明確にするだけでなく、将来起こりうる問題を未然に防ぐためにも必要です。
1: 土地の名義変更を行わないと、誰が所有者なのか分からなくなる
土地の名義変更をしないと、亡くなった方の土地は、相続人全員で共有している状態になります。
相続人が複数人いる場合、その後の相続が発生したときに、誰が所有者なのか分からなくなってしまう可能性があります。
2: 所有者が不明瞭な土地は、売却や担保などの取引が難しくなる
土地の名義変更を行わないと、土地の所有者が不明瞭なため、売却や担保などの取引がスムーズに行えません。
3: 所有者不明土地が増加し、社会問題に繋がる
所有者不明土地が増加すると、土地の有効活用が難しくなり、税収の減少や防災対策の遅れなど、様々な社会問題に繋がります。
□相続登記手続きの流れと必要な書類
相続登記は、複雑な手続きのように思えるかもしれませんが、必要な書類を揃え、手順を踏めば、誰でもスムーズに行うことができます。
1: 手続きの流れ
相続登記の手続きは、大きく分けて以下の4つのステップで行います。
・遺産分割協議
相続人が複数人いる場合、遺産分割協議を行い、土地の所有者を決定します。
・相続登記申請
相続登記申請書と必要な書類を揃えて、管轄の法務局に提出します。
・登記完了
法務局が書類を審査し、登記が完了します。
・登記完了証明書の取得
登記が完了すると、登記完了証明書が発行されます。
2: 必要な書類
相続登記に必要な書類は、以下のとおりです。
・被相続人の戸籍謄本
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。
・相続人の戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本が必要です。
・遺産分割協議書
遺産分割協議を行い、土地の所有者を決定したことを示す書類です。
・固定資産税評価証明書
土地の評価額が記載された証明書です。
・登記申請書
法務局に提出する申請書です。
3: 手続きの注意点
相続登記の手続きには、いくつかの注意点があります。
・手続き期限
相続登記は、相続開始から3年以内に申請する必要があります。
・必要な書類
必要な書類は、法務局によって異なる場合があります。
事前に法務局に問い合わせて確認しましょう。
・費用
相続登記には、手数料や司法書士費用などの費用がかかります。
・専門家への相談
相続登記は、複雑な手続きです。
不安な場合は、専門家(司法書士など)に相談することをお勧めします。
□まとめ
この記事では、土地の名義変更の手続きについて、その必要性や手続きの流れ、必要な書類などを解説しました。
相続登記は、複雑な手続きのように思えるかもしれませんが、必要な書類を揃え、手順を踏めば、誰でもスムーズに行うことができます。
相続登記をスムーズに行うためには、事前にしっかりと準備することが大切です。
この記事を参考に、必要な手続きを早めに行いましょう。
2024.08.08
不動産コラム
「不動産を相続したけど、自分では活用する予定がない。売却したいけど、手続きが複雑そうで不安
こんな悩みをお持ちのあなたへ。
この記事では、不動産を相続した際に、売却を検討する人が知っておくべき基本的な知識や注意点について解説します。
相続した不動産を売却したいけど、どうすればいいのかわからない。
そんな方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
□不動産を相続したくない?相続しなくても売却できるの?
不動産を相続せずに売却できるのか、法律的な観点から解説します。
結論から言うと、原則として、所有者でなければ売却できません。
所有者である被相続人が亡くなった後は、所有者が定まっていないため、売却の判断をできる方がいない状態となります。
しかし、遺産分割協議が完了していれば、所有権移転登記までに遺産分割と相続登記を完了させることで、売却契約を締結することが可能です。
所有権移転登記とは、不動産の所有者が変わったことを登記簿に反映させる手続きです。
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合って決めることです。
相続登記とは、被相続人の名義から相続人の名義に変更する手続きです。
□相続不動産売却のケース別の検討ポイント
相続した不動産を売却するケースは、大きく3つに分けることができます。
それぞれのケースにおける検討ポイントを見ていきましょう。
1: 利用する予定がない場合
遠く離れた親の不動産を相続するなど、利用する予定のない不動産を所有するケースでは、売却が考えられるでしょう。
しかし、不動産を相続して所有している間は、固定資産税や都市計画税などの税金や管理費がかかります。
所有している土地に建物が建っている場合には、固定資産税および都市計画税に対して住宅用地の軽減措置が適用されるため、税負担を軽減することが可能です。
土地のみの場合には、軽減措置が適用されない点に注意しましょう。
2: 換価分割を行う場合
複数の相続人で遺産を分割する際には、現物分割や換価分割などを行います。
現物分割は土地や建物などの遺産を現物のまま分割相続する方法です。
換価分割は相続した遺産を売却し、得たお金を相続人で分割する方法です。
相続した遺産が不動産の場合、複数の相続人で分割するとなると、管理が困難になる可能性が高いでしょう。
換価分割であれば、相続人が平等に売却金を受け取れます。
このように、遺産が不動産で相続人が複数存在する場合は、不動産を売却して換価分割を行うことをおすすめします。
□家を相続する際の注意点
相続した家の売却を検討する際に注意すべきポイントを紹介します。
1: 共有名義はトラブルのリスクが高いため、できるだけ避けるべき
家の分割方法が決まらない場合、「とりあえず」共有名義にするケースがありますが、これはリスクが伴います。
共有名義では、名義人が亡くなる度に新たな相続が発生し、名義人が増え続けていきます。
その結果、売却時に名義人全員の合意が必要となり、売却が困難になることもあります。
相続人が納得したうえで共有名義にした場合でも、関係がいつまでも良好であるとは限りません。
また、名義人が変わることで意思の共有が難しくなる可能性もあります。
トラブルのリスクを減らすため、相続した家はできるだけ共有名義を避けることが望ましいです。
現物分割や代償分割で単独名義にするか、換価分割による売却を検討しましょう。
2: 家の売却代金を相続税に充てる場合は期限に注意
相続税は、相続発生後10カ月以内に申告・納付しなければならないとされています。
相続税が少額で、手持ちの現金や遺産からまかなえる場合は問題ありませんが、相続税額が高額で家の売却代金での充当を考えるケースもあるでしょう。
その場合、相続から10カ月以内に買主を見つけて決済までおこなう必要があるため、迅速に不動産会社に相談することが重要です。
期限までに買主が見つからない場合には、不動産会社に直接買い取ってもらうと早ければ1週間程度で現金化できるので、検討してもよいでしょう。
□まとめ
この記事では、相続した不動産を売却したいと考えている方のために、基本的な知識や注意点について解説しました。
相続せずに不動産を売却することは原則としてできませんが、遺産分割協議が完了していれば、所有権移転登記までに遺産分割と相続登記を完了させることで、売却契約を締結することができます。
相続した不動産を売却する際には、利用する予定がないか、換価分割を行うか、清算型遺贈が行われるかなど、ケースによって検討すべきポイントが異なります。
また、家を相続する際には、共有名義はトラブルのリスクが高いので注意が必要です。
売却代金を相続税に充てる場合は、相続発生後10カ月以内の申告・納付期限に注意し、早急に売却を進める必要があります。
相続不動産の売却は、手続きが複雑で、不安な点も多いですが、適切な知識を身につけて、スムーズに売却を進めましょう。
2024.08.01
不動産コラム
不動産相続、特に遺言書がある場合の相続登記は、手続きや注意点が多く、複雑に感じる方も多いのではないでしょうか。
「遺言書があるなら、相続登記は簡単そう」と思っていませんか。
実は、遺言書があっても、相続登記には、いくつかの注意点や必要な手続きがあります。
この記事では、遺言書がある場合の不動産相続登記の手順、注意点、そしてスムーズに手続きを進めるためのポイントを詳しく解説していきます。
不動産相続をスムーズに進めたいと考えている方のために、分かりやすく解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
□遺言書がある場合の不動産相続登記の手順
遺言書がある場合の不動産相続登記は、遺言書の内容に基づいて手続きを進めることになります。
具体的な手順は以下の通りです。
1: 遺言書の内容を確認する
まず、遺言書の内容をよく確認し、不動産の相続に関する記述を理解することが重要です。
遺言書には、相続人に誰が指定されているのか、不動産をどのように相続させるのか、などの情報が記載されています。
遺言書の内容を正確に把握することで、スムーズな手続きを進めることができます。
2: 遺言書の種類を確認する
遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言など、いくつかの種類があります。
遺言書の種類によって、相続登記に必要な書類や手続きが異なります。
・自筆証書遺言の場合:遺言書原本に加えて、家庭裁判所の検認済証明書が必要になります。
・公正証書遺言の場合:公正証書遺言の正本または謄本が必要です。
3: 必要書類を準備する
遺言書の種類によって必要な書類が異なりますが、一般的に必要な書類は以下の通りです。
・遺言書
・被相続人の除籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・不動産登記簿謄本
・登記申請書
4: 法務局に申請する
遺言書や必要書類の準備ができたら、これらの記載内容をもとに登記申請書を作成しましょう。
所定の登録免許税額に相当する収入印紙とともに、登記申請書と必要書類を管轄の法務局に登記申請を行います。
5: 登記識別情報通知書の交付
申請が受理されると、法務局から登記識別情報通知書が交付されます。
登記識別情報通知書は、登記が完了したことを証明する重要な書類です。
大切に保管しておきましょう。
□遺言書と遺産分割協議の関係
遺言書がある場合でも、遺産分割協議が必要となるケースがあります。
1: 遺言書の内容に納得できない場合
遺言書は故人の最後の意思ですので、その意思を尊重するのが望ましいです。
しかし、その内容に納得できないこともあるでしょう。
遺言書の内容に納得できない相続人がいる場合は、遺産分割協議を行うことで、遺言書と異なる内容で不動産を相続することができます。
ただし、遺産分割協議を行うには、全相続人の合意が必要です。
遺言執行者がいれば遺言執行者の同意も必要です。
2: 遺言書がない場合
遺言書がない場合は、遺産分割協議を行い、相続人全員で遺産の分け方を決める必要があります。
遺産分割協議で不動産の相続人が決まれば、その相続人が相続登記を申請します。
3: 後から遺言書が見つかった場合
遺産分割協議後に遺言書が見つかった、というケースも考えられます。
遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合は、原則として遺言書の内容に基づいて財産を配分します。
□遺言書がある場合の相続登記の注意点
遺言書がある場合の相続登記は、スムーズに進めるためにいくつかの注意すべき点があります。
1: 遺言書がある場合、相続登記の手続きに戸籍謄本等の一部書類が不要になる
相続による名義変更の際には、通常亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍などが必要です。
これは誰が相続する権利を持っているか(法定相続人か)を確認、証明するためです。
相続人が確定したら相続人で話し合い、誰が相続するか通常は決めますが、遺言書がある場合は既に相続する人が決まってますので、相続人を証明することも不要です。
2: 遺言執行者の存在
遺言書に遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者の指示に従って手続きを進める必要があります。
遺言執行者は、遺言書の内容を実行する責任を負います。
3: 法定相続人の協力
遺言書の内容によっては、法定相続人の協力が必要になる場合があります。
例えば、法定相続人以外が新しい名義人となる場合や、遺贈がある場合などです。
4: 必要な書類を揃える
遺言書の種類によって必要な書類が異なります。
事前に法務局に問い合わせて、必要な書類を揃えておくようにしましょう。
5: 手数料や税金
相続登記には、登録免許税などの手数料や、相続税などの税金がかかります。
事前に費用を把握しておきましょう。
□まとめ
遺言書がある場合の不動産相続登記は、通常の相続登記とは異なる手続きや注意点があります。
遺言書の内容をよく確認し、必要な書類を揃え、法務局に申請することで、スムーズに手続きを進めることができます。
相続登記は、複雑で時間がかかる手続きです。
不安な点があれば、専門家である司法書士や弁護士に相談することをお勧めします。
2024.07.25
不動産コラム
土地の名義変更や相続放棄、相続に関する手続きは複雑で、専門知識がないと、なかなか理解しづらいものです。
特に、土地の相続が発生し、相続放棄を検討している方は、手続き方法や注意点、相続放棄できないケースなど、様々な疑問を抱えているのではないでしょうか。
この記事では、土地の相続放棄について、わかりやすく解説していきます。
相続放棄とは何か、手続き方法、注意点、そして相続放棄できないケースまで、具体的な事例を交えながら詳しく説明します。
この記事を読めば、土地の相続放棄に関する疑問が解決し、安心して手続きを進めることができるようになるでしょう。
□土地の名義変更:相続放棄とは?
相続放棄とは、被相続人の土地を含む財産を相続せず、相続人としての立場を放棄することを意味します。
相続放棄をすることで、土地の所有権を引き継ぐことなく、相続財産から一切除外されます。
相続放棄は、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。
1: 相続放棄のメリット
相続放棄の最大のメリットは、土地を含む相続財産を引き継がないことです。
相続財産には、土地の他に、預金、債権、借金など様々なものが含まれます。
相続放棄をすることで、これらの財産をすべて放棄することができます。
特に、借金をはじめとした負債がある場合、相続放棄は非常に有効な手段となります。
2: 相続放棄のデメリット
相続放棄のデメリットは、土地を含む相続財産をすべて放棄してしまうことです。
相続財産の中には、土地以外にも、預金や有価証券など、価値のある財産が含まれている可能性もあります。
相続放棄をすることで、これらの財産もすべて放棄することになってしまうのです。
負債だけに目を向けず、プラスの財産にも目を向けて相続の是非を判断するようにしましょう。
3: 相続放棄の注意点
相続放棄は、相続が開始したことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申し立てする必要があります。
この期間を過ぎると、相続放棄はできなくなります。
また、相続放棄をする前に、被相続人の財産状況をしっかりと把握しておく必要があります。
被相続人の財産状況が不明な場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
相続放棄した場合には、土地の名義変更はもちろん必要ありません。
通常、土地の名義変更は以下のプロセスで行われます。
・遺産分割協議
・登記に必要な書類の収集
・登記申請書の作成
・法務局への登記の申請
書類に不備さえなければ1週間程度で手続きが完了し、不動産の名義変更が完了します。
□相続放棄の手続き方法
相続放棄の手続きは、以下の手順で行います。
1: 相続放棄申述書の提出
相続放棄をしたい場合は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、相続放棄申述書を提出する必要があります。
2: 必要書類の提出
相続放棄申述書に加えて、以下の書類も提出する必要があります。
- 戸籍謄本
- 被相続人の除票または戸籍附票
3: 手数料の支払い
相続放棄申述書を提出する際には、手数料として収入印紙代800円が必要になります。
また、連絡用の郵便切手代も必要となります。
4: 期間の伸長
相続放棄の申述期間は、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内です。
しかし、期間内に相続放棄をすることができなければ、期間を伸長できます。
期間を伸長したい場合は、家庭裁判所に期間伸長の申し立てをする必要があります。
□相続放棄できないケース
相続放棄は、原則として、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申述すれば、誰でもできます。
しかし、以下の場合は、相続放棄ができないことがあります。
1: 被相続人の財産を処分・承継してしまった場合
被相続人の不動産や預金口座の名義を自分名義にしてしまった場合、遺産分割協議書を作成して手続きを進めてしまった場合、被相続人の借金を被相続人の預貯金から一部でも支払ってしまった場合など、被相続人の財産を処分・承継してしまった場合は、相続放棄ができないことがあります。
これは、被相続人の財産を処分・承継することで、相続を承継することを認めたと判断されるためです。
2: 相続放棄の申述期間を過ぎている場合
相続放棄の申述期間は、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内です。
この期間を過ぎてしまうと、相続放棄はできません。
□まとめ
土地の相続放棄は、相続人としての立場を放棄し、被相続人の土地を含む財産を一切引き継がないことを意味します。
相続放棄をするには、相続が開始したことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。
相続放棄をする場合は、被相続人の財産状況をしっかりと把握し、専門家に相談することをおすすめします。
また、相続放棄できないケースもいくつか存在するので、事前に確認しておく必要があります。
お問い合わせ
CONTACT
「悩みがある・困っている・売りたい、買いたい」
何でもご相談ください!