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相続放棄した家はどうなる?相続放棄した家に住み続けることはできる?

不動産コラム

2023.09.15

相続放棄とは、相続人が相続財産の受け取りを拒否し、一切の財産を引き継がないことを指します。
急に家を相続することになったものの、多額の借金があって相続できないため、相続放棄を検討しているというケースもあるでしょう。

今回は、相続放棄した家はどうなるのかと、相続放棄した家に住み続けられるのかについてご紹介します。

□相続放棄するとどうなる?

結論からお伝えすると、相続人の一部が相続するとなった場合は、その人に相続権が移り、相続人全員が家の相続を放棄した場合は、国のものになります。
ただ、最終的に国のものにするためには、相続財産清算人を選定して、不動産に相続人がいないことを法的に証明しなければなりません。
そのため、家を相続放棄するとなると、相続放棄の手続きが必要です。
その手続きは以下の順番で進みます。

1.相続開始後3ヶ月以内に相続放棄する

相続放棄は、相続が生じたことを知ってから3ヶ月以内に実施します。
そのため、被相続人が亡くなったことを知り、自分が相続人であることを知った日から3ヶ月以内に相続するのか・放棄するのかを決める必要があります。

相続放棄を決意した場合は、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に相続放棄の申し立てを行います。
相続放棄は、相続人個々が行う必要があるので、相続の手続きをしない相続人がいる場合は、その相続人に相続放棄した人の分の相続権も移ります。
意図せず、財産の相続権が移らないように、事前に相続人全員と話し合うことで、ある程度のトラブルを避けられます。

2.相続財産の管理人を選任する

相続放棄の手続きをした後も財産関連の手続きは残っています。
特に、財産が家の場合は、相続後に管理し続けなければならないので、適切に対応する必要があります。
もし、相続人全員が相続放棄するのであれば、相続人から代表を決めて、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てましょう。
一般的に、相続財産管理人には、弁護士のような専門家が選任されます。

ただし、相続財産管理人に引き渡すまでは、管理責任が発生するので注意してください。
また、相続放棄するときは、財産の管理にかかる費用を被相続人の財産から支払うことはできません。
それは、被相続人の財産から管理費用を支払うと、財産を相続する意思があるとみなされて相続放棄できなくなることがあるためです。

3.相続財産管理人が財産の管理・清算を行う

相続財産管理人が決まると、財産の管理責任は相続財産管理人が負うことになります。
また、相続財産管理人は家庭裁判所から許可が降りれば、財産を売却することも可能です。

4.相続財産が国庫に引き継がれる

現金化できる際、債務者がいる場合は申し出をするように呼びかけ、相続財産から返済を行います。
しかし、現金化できない不動産のような財産は、そのまま国庫に引き継がれ、国の財産になります。
相続財産全ての現金化あるいは、国庫の木棺などの業務が終わると、相続財産管理人は役目を終えます。

□全員が相続放棄した場合の注意点とは?

全員が相続放棄した場合、以下の2つの注意点が挙げられます。

*相続放棄をしても管理義務を負う

相続放棄をすると、相続に関する一切の責任から解放されるわけではありません。
相続を放棄した人は、その放棄により相続人になった人が相続財産の管理を始めることができるまでは、自己の財産におけるのと同一の注意を持ってその財産の管理を継続する必要があります。
もし、相続人が相続放棄したからといって、相続財産の管理を怠ると、相続財産が減失されて債務者に損害を与える可能性があるので注意してください。

*賠償責任を負う可能性がある

管理義務を果たさなければ、空き家が倒壊するといったような事故が発生し、第三者に損害を与える可能性があります。
また、家の敷地内にある木の管理を行わなかったことで、隣の家にまで木の枝が伸び、苦情が入る可能性もあります。
このように、ずさんな管理の結果、他の相続人から賠償請求される可能性があるので注意が必要です。

□相続放棄した家に住み続けることはできる?

「相続放棄したが、やっぱりこの家に住み続けたい」となる可能性もあるでしょう。
その場合は、保存義務が発生します。

民法改正によって相続放棄後の不動産については、「管理義務」から「保存義務」に変わりました。
保存義務に変わっても不動産を適切に管理しなければならないのは変わりません。
相続人は、相続財産を適切に管理し、損害を与えないようにする義務があります。
そのためには、財産の保管や保険の加入、必要な修繕や維持管理の責任を果たす必要があります。

他に相続人がいる場合は、相続放棄をしていない他の相続人に不動産を引き渡すまで保存義務を負います。
そして、他に相続人がいない場合は、相続財産の清算人に被相続人の財産を引き渡すまで保存義務を負うことになります。

□まとめ

今回は、相続放棄した家はどうなるのかと、相続放棄した家に住み続けられるのかについてご紹介しました。
相続放棄された家は、誰も相続人がいない場合は最終的に国のものになります。
国のものになるまでには、必要な手続きがあるので忘れずに行いましょう。
また、相続放棄したもののその家に住み続けたい場合は、管理義務から保存義務に切り替わり、その責任を果たす必要があることを把握しておきましょう。

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