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相続放棄をすると遺留分はもらえなくなる?遺留分の基礎知識と相続放棄との関係
不動産コラム
2024.06.15
遺留分の問題は、遺言書によって財産分配が決定された場合でも、法定相続人に最低限保証される権利が影響を及ぼします。
家族の和を大事にし、紛争を避けたいと考える遺留分権利者にとって、遺留分の適切な理解と対処方法は極めて重要です。
そこで、今回の記事では、遺留分の簡単な説明と放棄するメリット、そして相続放棄との関係についてご紹介します。
□遺留分について
遺留分とは、一定の法定相続人に法律によって保障される最低限の遺産の取得権です。
この制度は、遺言による財産の分配があったとしても、一定の相続人が無視されることなく適切な保護を受けられるように設けられています。
1:遺留分の対象となる法定相続人
・配偶者
配偶者は、被相続人の配偶者であり、法律によってその遺留分の保護が特に重視されています。
配偶者は、被相続人との生活の多くを共にしてきた人物であるため、社会的・経済的保護が必要とされます。
・子供
被相続人の子供も遺留分の対象となり、これには実子のみならず、養子も含まれる場合があります。
子供たちが将来的に安定した生活を送れるよう、一定の遺産が保障されるべきとされています。
・親
被相続人の親も遺留分の対象となる場合があります。
これは、子供がいない場合に限られることが多く、親が老後を安心して過ごせるように支援を提供するためです。
2:遺留分の計算方法
遺留分の具体的な計算方法は、法定相続分の一定割合に基づいています。
遺留分の割合は、相続人の数や地位によって異なり、一般的には法定相続分の1/2または1/3とされています。
例えば、配偶者が1人のみの場合、その配偶者の遺留分は遺産の半分となります。
子供が複数いる場合は、それぞれの子供の遺留分は遺産の1/3となることが一般的です。
3:遺留分侵害額請求
遺留分が侵害されたと感じる法定相続人は、遺留分侵害額請求を行えます。
これは、遺言によって遺留分が侵害された場合や、遺産分割協議において不公平な取り扱いがあったと感じる場合に、法定相続人が行使できる権利です。
遺留分侵害額請求を行うには、まず遺産の総額を確定し、法定相続人の権利がどの程度侵害されているかを計算し、適切な補償を求めることが必要です。
このように、遺留分は法定相続人の経済的基盤を保護し、不公平な遺産分配を防ぐための重要な制度です。
遺言が存在する場合でも、遺留分の請求によって法定相続人の最低限の権利が保護されることを理解し、適切に行動することが求められます。
□遺留分を放棄するメリットとは
遺留分の放棄は、遺留分権利者が自発的にその権利を放棄することを意味します。
ここでは、遺留分を放棄することのメリットをいくつか解説します。
1:遺言による分配がスムーズに
遺留分を放棄することで、被相続人の意向が記された遺言に基づく財産分配が円滑に進行します。
これにより、家族間の争いを未然に防げます。
2:紛争のリスク低減
遺留分を放棄することで、将来的に起こりうる遺産に関する紛争を回避できます。
これは、特に家族関係を大切にする遺留分権利者にとって大きなメリットとなります。
3:相続人間の和解と関係の維持
遺留分を巡る争いは、しばしば家族関係を悪化させます。
遺留分の放棄は、遺産をめぐる潜在的な対立を解消し、家族間の和解と関係維持を助ける選択肢となり得ます。
□相続放棄と遺留分の関係について
相続放棄は、相続人が法的に遺産全体を放棄する行為です。
この選択を行うことにより、放棄した相続人は、まるで相続が発生する前からその相続人が存在しなかったかのように扱われ、相続権だけでなく遺留分権も含めて放棄されます。
ここでは、相続放棄を選択することが遺留分にどのような影響を与えるかについてご説明します。
1:遺留分権の完全な喪失
相続放棄を行うと、その人の遺留分権利も同時に失われます。
これは、その相続人が法的に相続全体から手を引いたことを意味し、遺留分を含む一切の権利を放棄することになります。
2:相続構成の変更
相続放棄によって相続人が1人減ると、残された相続人間での遺産分配割合が変わります。
これは、遺産の再分配により、他の法定相続人の取得部分が増加することを意味します。
相続放棄は、多くの相続人に影響を及ぼす可能性があるため、事前に家族間で十分な話し合いが必要です。
また、相続放棄は、一度決定してしまうと通常は撤回できません。
そのため、この選択を行う時には、個人の財産状況や将来の計画・家族間の関係など、多岐にわたる要素を綿密に検討する必要があります。
特に、遺留分の放棄はその人の法的な権利を大幅に削減するため、法的助言を受けることも重要です。
遺留分の放棄や相続放棄は、ただ財産を放棄するだけでなく、家族関係に深い影響を及ぼす可能性があります。
相続放棄が家族間の紛争を防ぐ一助となることもありますが、逆に不和の原因となることも考えられるからです。
そのため、家族とのコミュニケーションを保ちながら、全員が納得できる解決策を見つけることが望ましいです。
□まとめ
相続放棄と遺留分の関係は、個人の問題では済まないため、家族や親戚などの相続人を含めて考える必要があります。
相続放棄は遺留分権を含む多くの権利を放棄する決断であり、遺留分権利者が相続全体を放棄することで、自身の権利だけでなく家族間の法的なバランスにも大きな変動をもたらす可能性について注意しましょう。
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