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2024.06.15

不動産コラム

遺留分の問題は、遺言書によって財産分配が決定された場合でも、法定相続人に最低限保証される権利が影響を及ぼします。
家族の和を大事にし、紛争を避けたいと考える遺留分権利者にとって、遺留分の適切な理解と対処方法は極めて重要です。

そこで、今回の記事では、遺留分の簡単な説明と放棄するメリット、そして相続放棄との関係についてご紹介します。

□遺留分について

遺留分とは、一定の法定相続人に法律によって保障される最低限の遺産の取得権です。
この制度は、遺言による財産の分配があったとしても、一定の相続人が無視されることなく適切な保護を受けられるように設けられています。

1:遺留分の対象となる法定相続人

・配偶者

配偶者は、被相続人の配偶者であり、法律によってその遺留分の保護が特に重視されています。
配偶者は、被相続人との生活の多くを共にしてきた人物であるため、社会的・経済的保護が必要とされます。

・子供

被相続人の子供も遺留分の対象となり、これには実子のみならず、養子も含まれる場合があります。
子供たちが将来的に安定した生活を送れるよう、一定の遺産が保障されるべきとされています。

・親

被相続人の親も遺留分の対象となる場合があります。
これは、子供がいない場合に限られることが多く、親が老後を安心して過ごせるように支援を提供するためです。

2:遺留分の計算方法

遺留分の具体的な計算方法は、法定相続分の一定割合に基づいています。
遺留分の割合は、相続人の数や地位によって異なり、一般的には法定相続分の1/2または1/3とされています。

例えば、配偶者が1人のみの場合、その配偶者の遺留分は遺産の半分となります。
子供が複数いる場合は、それぞれの子供の遺留分は遺産の1/3となることが一般的です。

3:遺留分侵害額請求

遺留分が侵害されたと感じる法定相続人は、遺留分侵害額請求を行えます。
これは、遺言によって遺留分が侵害された場合や、遺産分割協議において不公平な取り扱いがあったと感じる場合に、法定相続人が行使できる権利です。

遺留分侵害額請求を行うには、まず遺産の総額を確定し、法定相続人の権利がどの程度侵害されているかを計算し、適切な補償を求めることが必要です。

このように、遺留分は法定相続人の経済的基盤を保護し、不公平な遺産分配を防ぐための重要な制度です。
遺言が存在する場合でも、遺留分の請求によって法定相続人の最低限の権利が保護されることを理解し、適切に行動することが求められます。

□遺留分を放棄するメリットとは

遺留分の放棄は、遺留分権利者が自発的にその権利を放棄することを意味します。
ここでは、遺留分を放棄することのメリットをいくつか解説します。

1:遺言による分配がスムーズに

遺留分を放棄することで、被相続人の意向が記された遺言に基づく財産分配が円滑に進行します。
これにより、家族間の争いを未然に防げます。

2:紛争のリスク低減

遺留分を放棄することで、将来的に起こりうる遺産に関する紛争を回避できます。
これは、特に家族関係を大切にする遺留分権利者にとって大きなメリットとなります。

3:相続人間の和解と関係の維持

遺留分を巡る争いは、しばしば家族関係を悪化させます。
遺留分の放棄は、遺産をめぐる潜在的な対立を解消し、家族間の和解と関係維持を助ける選択肢となり得ます。

□相続放棄と遺留分の関係について

相続放棄は、相続人が法的に遺産全体を放棄する行為です。
この選択を行うことにより、放棄した相続人は、まるで相続が発生する前からその相続人が存在しなかったかのように扱われ、相続権だけでなく遺留分権も含めて放棄されます。

ここでは、相続放棄を選択することが遺留分にどのような影響を与えるかについてご説明します。

1:遺留分権の完全な喪失

相続放棄を行うと、その人の遺留分権利も同時に失われます。
これは、その相続人が法的に相続全体から手を引いたことを意味し、遺留分を含む一切の権利を放棄することになります。

2:相続構成の変更

相続放棄によって相続人が1人減ると、残された相続人間での遺産分配割合が変わります。
これは、遺産の再分配により、他の法定相続人の取得部分が増加することを意味します。
相続放棄は、多くの相続人に影響を及ぼす可能性があるため、事前に家族間で十分な話し合いが必要です。

また、相続放棄は、一度決定してしまうと通常は撤回できません。
そのため、この選択を行う時には、個人の財産状況や将来の計画・家族間の関係など、多岐にわたる要素を綿密に検討する必要があります。
特に、遺留分の放棄はその人の法的な権利を大幅に削減するため、法的助言を受けることも重要です。

遺留分の放棄や相続放棄は、ただ財産を放棄するだけでなく、家族関係に深い影響を及ぼす可能性があります。
相続放棄が家族間の紛争を防ぐ一助となることもありますが、逆に不和の原因となることも考えられるからです。

そのため、家族とのコミュニケーションを保ちながら、全員が納得できる解決策を見つけることが望ましいです。

□まとめ

相続放棄と遺留分の関係は、個人の問題では済まないため、家族や親戚などの相続人を含めて考える必要があります。
相続放棄は遺留分権を含む多くの権利を放棄する決断であり、遺留分権利者が相続全体を放棄することで、自身の権利だけでなく家族間の法的なバランスにも大きな変動をもたらす可能性について注意しましょう。

2024.06.08

不動産コラム

相続に関する手続きは、一般の方にとっては非常に複雑で分かりにくいものです。
法的な知識が必要であり、間違った手続きを行ってしまうと、後々のトラブルに発展する可能性もあります。

そこで今回は、相続割合の基礎知識とその計算方法、法定相続が適用されないケースについてご紹介します。

□相続割合とは?

相続割合、または相続分は、遺産をどのくらいの比率で相続するかを示す数値です。
この割合は相続人の間で遺産がどのように分割されるかを決定するための基準となります。
相続割合は、故人の意志(遺言)または法律によって定められ、相続手続きにおいて中心的な役割を担います。

相続割合を定めることは、相続人間の公平を保ち、争いを避けるために極めて重要です。
故人の意志が遺言で明確に示されていない場合、法律に定められた法定相続割合に従って遺産が分割されます。
この割合は、相続人の法的な権利を保護し、各人が受け取るべき遺産の量を公平に決定するためのものです。

相続割合には、「指定相続割合」と「法定相続割合」の2種類があります。

指定相続割合は、故人が遺言で具体的に定めた相続の割合で、この割合には特定の財産を特定の相続人に渡す指示が含まれることもあります。
指定相続割合が存在する場合、その指示には法的な拘束力があり、相続人はこれに従う必要があります。

一方、法定相続割合とは、遺言がない場合に適用される、法律に基づく相続の割合で、民法には相続人のカテゴリーごとに割合が明確に定められており、配偶者・子・親などの法定相続人がそれぞれの割合で遺産を受け取ります。

□法定相続人とその割合の計算について

法定相続人とは、遺言がない場合に法律によって自動的に相続権が認められる人々のことを指します。
相続法には明確な規定があり、それに基づいて遺産が分割されます。

ここでは、主な法定相続人のカテゴリーと、それぞれの割合の計算方法について簡単に説明します。

1:主な法定相続人とその相続割合

・配偶者と子

配偶者と子がいる場合の相続では、配偶者が2分の1、残りの2分の1を子どもたちが均等に分け合います。
子が複数いる場合、子どもたちで残りの2分の1を等分します。

・配偶者と直系尊属(親や祖父母)

配偶者と直系尊属が相続人である場合、配偶者は3分の2、直系尊属は3分の1を相続します。
直系尊属が複数いる場合も、彼らは合計で3分の1を分け合います。
これにより、配偶者が主な保護を受ける一方で、親等も適切な配分を受けることになります。

・配偶者と兄弟姉妹

配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合、通常、配偶者が4分の3を、兄弟姉妹が残りの4分の1を相続します。
このケースでは、兄弟姉妹は直系の血縁よりも遠いため、より少ない割合となり、配偶者の保護が強調されます。

2:相続割合の計算例と解説

相続割合の計算には、具体的な数値を用いて明確に理解することが重要です。
例えば、故人の遺産が1000万円あった場合を考えます

・配偶者1人・子2人の場合

この場合は、配偶者は1000万円の2分の1である「500万円」、その子どもたちは1000万円の残り2分の1である500万円を2で割り、各子に「250万円」ずつが割り振られます。

・配偶者1人・親2人の場合

この場合、配偶者は1000万円の3分の2である「(約)666万円」、親は1000万円の残り3分の1 である334万円を2で割り、各親に「167万円」ずつ割り振られます。

相続の過程では、上記のような計算が公平な遺産分割を確保するために不可欠です。

また、相続人間での話し合いによって、これらの法定相続割合からの変更を合意することも可能です。

□法定相続割合が適用されない問題とは

法定相続割合は基本的な割合を示していますが、特定の状況下ではこれが適用されない場合があります。
ここでは、そのような例外的なケースについて解説します。

1:遺言書による指定

故人が生前に遺言を残し、その遺言で具体的な相続人や相続割合や特定の財産の分配を指定していた場合は、その遺言の指示が優先されます。
遺言書は故人の最終的な意志を反映するものであり、合法的な形式で作成されていれば、法定相続割合に優先して適用されます。

2:遺産分割協議の合意

相続人全員が遺産の分割について合意形成を行い、その合意に基づく分割協議が成立した場合、合意した内容に従って遺産が分割されます。
この協議による合意は、相続人間の関係や具体的な遺産の内容を考慮して柔軟に調整が可能で、法定相続割合と異なる割合での遺産分割が行われることもあります。

3:特別受益の考慮

相続人の中で特定の者が故人から生前に贈与を受けていた場合、その贈与は特別受益と見なされ、相続分から差し引き可能です。
この計算により、他の相続人との間で公平性を保つため、特別受益を受けた者の相続分が減額されることがあります。

4:寄与分の調整

相続人が故人の療養看護や事業への寄与など、特別な貢献をしていた場合、その貢献度に応じて相続分を増やせる「寄与分」の制度があります。
これは相続人の不公平を是正し、故人との関係性や貢献度を適切に反映するために用いられます。

ここで解説した4つの特例は、法定相続割合だけでは対応しきれない独特な事情や個々の貢献を考慮に入れるために設けられています。
相続は非常に複雑なものであり、これらの特例が適用されることで、より公平かつ円滑な遺産分割が実現されるのです。

□まとめ

今回の記事では、相続割合と法定相続人の割合・法定相続割合が適用されない例外について解説しました。
相続割合は、遺言書や相続人間の合意・特別受益や寄与分などによって変動する可能性もあることをあらかじめ理解しておくことが大切です。

2024.06.01

不動産コラム

誰もが歳を取るにつれて考えるタイミングが増えるのが、遺産相続です。
自分自身の財産については当たり前ですが、親の財産についても考える方は多いかもしれません。
 
その中でも特に、相続人がいない方にとっては、ご自身の財産をどうするかについては、非常に興味深いのではないでしょうか。
 
そこで、今回の記事では、相続人不存在の状況下での法的な意味と手続き、さらには税金に関する情報について簡単にご紹介します。
 

□相続人不存在ってどういうこと?

 
相続人不存在とは、亡くなった人(被相続人)の遺産を受け継ぐ法定相続人が1人も存在しない状態を指します。
この状況には、法定相続人がすでに亡くなっている、あるいは法的な理由で相続権がない場合や、可能な相続人がすべて相続放棄を行った場合が、相続人不存在として当てはまります。
 
このような状況は、相続財産の扱いや法的手続きにおいて通常のケースとは大きく異なり、特別な対応が必要とされます。
 
1:法定相続人がいない場合
 
法定相続人とは、民法によって自動的に相続権を持つことになっている親族を指し、これには配偶者、子供・孫・親・兄弟姉妹などが含まれます。
これらの親族がすでに亡くなっていたり、存在しない場合、相続人がいないとみなされます。
 
2:相続放棄で相続人がいなくなった場合
 
相続人がいても、相続放棄をすることで相続権は放棄可能です。
相続放棄は、負の遺産(借金をはじめとする負債)が原因で相続を望まない場合に行われることが一般的で、すべての法定相続人が相続放棄をした場合、法的に相続人が存在しない状態として扱われます。
 
3:欠格・廃除で相続人がいない場合
 
法定相続人がいたとしても、重大な犯罪を犯したり、被相続人に対して重大な不義行為を働いたりした場合、法律によって相続権を剥奪されることがあります。
これを相続人の欠格または廃除と呼びます。
 

□相続人不存在の場合の相続税って?

 
通常、相続税は相続財産の価値に基づいて計算されますが、相続人がいない特殊な状況では、その手続きには異なるアプローチが必要です。
 
ここでは、相続人が不存在の場合に知っておきたいことを解説します。
 
1:相続財産の管理
 
法定相続人が一切いない場合、相続財産は国庫に帰属する可能性があります。
ただし、その前に家庭裁判所は相続財産管理人を指名して財産の管理と適切な処分を行います。
 
2:特別縁故者への財産分与
 
被相続人に特別な縁故がある者がいる場合、裁判所はこれらの個人に相続財産の一部を分与することを許可することがあります。
例としては、被相続人の長期にわたるパートナーや面倒を見ていた人などが挙げられます。
 
3:相続税の計算
 
財産が特別縁故者に財産が分与された場合、その財産の価値に基づいて相続税が計算されます。
この時、相続税の申告期限や基礎控除などの規定が適用されますが、これらは通常の相続とは異なる場合が多いため、注意が必要です。
 
4:相続税の申告
 
特別縁故者が財産を受け取ることになった場合、相続税の申告は財産を受け取った日から数えて10か月以内に行う必要があります。
また、特別縁故者が相続税を支払う際には、通常の法定相続人とは異なる加算税率が適用されることがあります。
 

□生前から相続人が不存在の場合はどうすれば良い?

 
相続人が存在しないケースでは、生前対策が非常に重要です。
被相続人が生前に行える準備により、遺産の扱いや法的な手続きを円滑に進められます。
 
ここでは、生前から相続人不存在の状況を想定した場合にどのような対策を講じるべきかについてご説明します。
 
1:遺言書の作成
 
生前から相続人が不存在であることがわかっている場合は、遺言書を作成し、自身の財産を誰にどのように分配するか明記することが基本です。
遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言がありますが、公正証書遺言の方が法的効力が高く、争いを防ぐ効果も期待できます。
 
この遺言書には、特定の友人・遠縁の親族、または慈善団体など、財産を相続させたい個人や団体を明記できます。
 
2:特別縁故者の指定
 
特別縁故者への財産分与を遺言で指定することで、国庫に帰属することなく、意図した個人に財産を引き継げます。
この場合、特別縁故者として親戚や長年の友人、世話をしてくれた人などが考えられます。
 
遺言書にこれらの人々への指名を含めることで、彼らが財産を継承する法的根拠を作れるのです。
 
3:死後事務委任契約
 
死後事務委任契約を結ぶことで、自分の死後の諸手続きを信頼できる第三者に委任可能です。
死後事務委任契約には、葬儀の手配や未解決の財務処理・遺言の執行などが含まれ、この契約を通じて、遺言の執行者や特定の弁護士が、被相続人の意向に従って行動することが確実になります。
 
4:財産の事前分配
 
可能であれば、生前に財産を直接手渡しすることも選択肢の1つです。
これには、現金の贈与や不動産の移転などが含まれますが、贈与税の影響を考慮する必要があります。
 
生前にこれらの対策を講じることで、相続人不存在の状況においても、被相続人の意志が尊重され、財産が適切に管理されることが保証されます。
また、これらの対策は、遺産が法的な問題に巻き込まれることを防ぎ、スムーズな遺産の移転を助けるためにも非常に有効といえます。
 

□まとめ

 
相続人不存在の状況においては、生前の準備が非常に重要です。
適切な遺言書の作成・特別縁故者の指定・死後事務委任契約の締結、そして可能であれば財産の事前分配を検討することで、自分の意思に基づいた財産の管理と分配を確実に行えます。
 
これらの対策を行うことで、予期せぬ法的問題を避け、スムーズな遺産処理を実現できるのです。

2024.05.25

不動産コラム

多くの国で問題とされている空き家問題。
その中でも、少子高齢化が急速に進んでいる日本では、空き家の増加が顕著で、特に実家を空き家として残す家族や相続人にとっては、それをどのように扱うかが大きな問題となります。

そこで、今回の記事では、空き家となった実家をどのように処分するか、その具体的な方法と売却までの流れ、空き家を相続することのデメリットをご紹介します。

□実家を処分する方法

空き家問題への対策として、多様な選択肢が提供されていますが、現実的な選択肢は限られています。
ここでは、実家を処分するための主な方法とその検討点について説明します。

1:売却

売却は、実家を市場に出すことで、土地や建物の価値を金銭的に回収できる主な方法です。
仲介業者を通じて行うと、適正な市場価格で売却できますが、市場の状況に左右されるため、不況時には思うような価格で売れないリスクがあります。
また、売却までのプロセスが長引くことも少なくありません。

2:解体

建物が老朽化している場合、解体して土地だけを売却する選択肢もあります。
土地の価値をより直接的に評価してもらえる可能性がある半面、解体には高額なコストがかかり、さらにその後の土地の固定資産税が上がるデメリットもあります。

また、解体後の土地の活用計画がなければ、単に負担が増えるだけになるリスクも留意が必要です。

3:貸し出し

実家を賃貸物件として貸し出すことで、定期的な収入を得られる可能性があります。
管理が行き届けば、資産価値の維持にもつながる一方、テナントの管理や建物のメンテナンスが必要となり、これには時間とコストがかかります。
また、入居者が見つからない期間は収入が途絶え、経済的負担が増える可能性もあります。

4:寄付や公共の利用

空き家を自治体に寄付することで、地域社会に貢献する方法もあります。
ただし、寄付した不動産は公共の施設として利用されますが、寄付は所有者にとって直接的な金銭的利益はありません。

また、寄付を受け入れるための条件が合わない場合、自治体が受け入れを拒否することもあります。

□空き家を売却するなら知っておきたい売却までのステップ

空き家となった実家の売却は、計画的に進めることが重要です。
ここでは、空き家の売却を効率良く進めるために知っておきたい、7つのステップをそれぞれ簡単にご説明します。

1:遺産分割について話し合う

相続が発生した場合、まずは相続の権利のある人で遺産分割について話し合います。
この時、誰がどの資産を相続するかを決定し、特に不動産の扱いについては慎重な議論が求められます。
直接会う以外にも、メールやリモートツールを使って話し合いを進める方法はあるため、遠方の縁者の方でも場所を問わずに参加できます。

2:名義変更と登記手続き

実家の名義を相続人に変更するためには、相続登記が必要です。
この手続きを進めるためには、法務局や司法書士との連携が不可欠で、名義変更後に、不動産の売却活動を開始可能になります。

3:仏壇や遺品の処理

実家からの仏壇の移動や遺品の整理は、内覧前に完了しておくべき作業です。
特に仏壇は、適切な方法で移動させる必要があり、これには専門的な手続きが伴います。

4:境界確認作業

土地の境界確認は、隣地とのトラブルを避けるために重要です。
確定測量を行い、必要に応じて法務局に境界変更の登記を申請します。
この作業には、専門家の立ち会いが必要なため、独断で行うのは避けましょう。

5:価格査定と市場分析

不動産会社に依頼して、実家の価格を査定します。
査定は、周辺地域の市場価格や土地の特性を考慮して行われ、最適な売出し価格を決定します。

6:売却活動と契約

適切な売却価格と販売戦略が決定された後、不動産会社は積極的な売却活動を展開します。
購入希望者が現れた場合は、条件交渉を経て売買契約を締結します。

7:クロージングと引渡し

売買契約が成立し、すべての法的手続きが完了した後、最終的な決済と物件の引渡しを行います。
この段階で、売却までの流れは正式に終了します。

□親の生前に処分できずに空き家を相続するとどうなる?

空き家を相続することは多くの場合、避けるべき状況ですが、しばしば避けられない事態として発生します。
ここでは、空き家を相続することになった場合に直面する可能性のある複数の問題と、その解決策について解説します。

1:固定資産税の増加

空き家の相続には、固定資産税の増加が伴います。
建物が存在しない更地の場合、固定資産税が上昇するため、経済的な負担が増大します。

2:維持管理の問題

空き家は定期的な維持管理が必要ですが、放置されると急速に劣化します。
この維持管理には時間とコストがかかり、しばしば相続人の負担となる場合があるため、注意が必要です。

3:犯罪や事故のリスク

空き家は犯罪の対象となりやすく、不法侵入や放火のリスクがあります。
これらを防ぐためには、定期的な巡回や適切なセキュリティシステムの設置がおすすめです。

4:地域社会との関係

空き家は地域社会においても問題視されることが多く、近隣住民とのトラブルに発展することもあります。
地域のイベントや自治会などに積極的に参加し、良好な関係を維持する努力が求められます。

□まとめ

実家を相続する際には、それをどのように処分または利用するかを慎重に考慮することが重要です。
空き家のまま放置すると、法的・経済的・社会的なリスクが増大するため、売却や賃貸、時には解体といった適切な処分方法を選択することが望ましいです。

今回の記事で紹介した内容を参考に、空き家の処分方法について改めて見直してみましょう。

2024.05.24

不動産コラム

空き家の処分に悩む所有者にとって、売却は大きな選択肢の1つです。

しかし、売却方法にはそれぞれメリットとデメリットがあり、どの方法を選ぶべきか迷うことも少なくありません。

そこで、今回の記事では、空き家売却の選択肢として「そのまま売却する」・「更地にして売却する」・「不動産会社に買い取ってもらう」の3つの方法と、売却においての注意点、空き家を放置するリスクについてをご紹介します。

□空き家売却の3つの方法とは

空き家を放置することは、管理の手間や資産価値の低下、さまざまなトラブルのリスクを伴います。
空き家の所有者が直面する1つの大きな課題は、その財産をどのように処分するかの点です。
ここでは、空き家の売却をする方法として、3つの方法をそれぞれ解説します。
ぜひ参考にして売却を成功させてください。

1:そのまま売却

この方法は、空き家を現状のまま売り出す方法です。
築年数が浅ければ「中古住宅」として、築年数が多ければ「古家付き土地」として市場に出せます。

この選択肢の魅力は、解体にかかる費用や手間を省略できる点にあります。
また、購入者がリフォームやリノベーションを望む場合、現状の家を活かしたいと考える人にとって魅力的なオプションともいえます。

2:更地にして売却

次に、空き家を解体して更地にし、その土地として売り出す方法があります。
更地にすることの最大のメリットは、買い手が直接建築プロジェクトを始められる点です。
解体には費用がかかりますが、土地としての価値を高め、売却を促進することが期待できます。
ただし、解体後の土地の税金が高くなる可能性がある点は注意が必要です。

3:買取を依頼する

最後に、不動産会社に空き家を直接買い取ってもらう方法もあります。
この方法の大きな利点は、迅速な売却が可能であることです。
短期間での現金化を望む場合に特に適していますが、市場価格より低い価格での取引となる可能性がある点は留意が必要です。

□空き家売却時の注意点

空き家を売却する際には、いくつかの重要なポイントがあります。
特にスムーズな売却を目指す上で、名義変更の確認・価格設定の戦略・売却期間の見積もりは欠かせない要素です。
ここでは、空き家売却時の注意点を3つ簡単に解説します。

1:空き家の名義変更ができているか確認を

空き家を売却する前には、必ず名義人がご自身の名前になっているかを確認しましょう。
名義人が被相続人(亡くなった方)のままだと、売却が行えないため、名義変更が必要です。
名義変更の手続きには時間がかかることもあるため、早めの行動を心がけましょう。

2:価格を設定する時は少し高めに

空き家の販売価格を決める時には、少し高めに設定することが一般的です。
これは、買主が必ず値下げ交渉をしてくるため、その交渉に対応しても適切な価格で売却できるようにするためです。
また、市場の動向を把握しながら柔軟に価格設定を見直すことも大切です。

3:空き家を売却するには時間がかかることを覚悟する

空き家の売却には時間がかかることを覚悟しておく必要があります。
特に、立地や物件の状態によっては、売却までに長い期間を要することもあります。
この間にかかる固定資産税や維持費などのコストも考慮に入れ、長期戦を覚悟しておくことが重要です。

□空き家を放置するリスクとは

空き家をそのままにしておくことは、多くのリスクを伴います。
特に、管理の手間やコスト・資産価値の低下、そしてさまざまなトラブルが発生する可能性があります。
これらのリスクを理解し、早期に売却や適切な処置を検討することが大切です。

1:管理の費用や手間がかかる

空き家は、人が住んでいないと急速に劣化することがあります。
定期的な換気や通水、そして保守メンテナンスが必要ですが、これらには手間とコストがかかります。
特に遠方に住んでいる場合、これらの作業を行うことが困難になることもあり、管理コストが嵩むことが懸念されます。

2:資産価値が下がる

空き家を長期間放置することは、その資産価値を大きく下げる原因になります。
建物が老朽化してしまうと、売却時には価値がほとんどない「古家付き土地」としての扱いになり、解体費用がかさむこともあります。
早期に売却することで、より高い価格での売却が期待できます。

3:トラブルのもとになる

空き家は、防犯上のリスクや、自然災害時の倒壊リスクなど、さまざまなトラブルの原因となります。
放置された空き家は不法侵入の対象となることもあり、近隣住民との間でトラブルに発展することも少なくありません。
適切な管理や早期の処置を行うことで、これらのリスクを回避可能です。

□まとめ

空き家売却の選択肢として「そのまま売却」・「更地にして売却」・「不動産会社に買い取ってもらう」という3つの方法がありますが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

早期に適切な売却方法を選択し、空き家の処分を検討することが、これらのリスクを回避し、所有者の資産価値を守る上で重要です。
今回の記事が、空き家の売却を検討している所有者の方々に有益な情報を提供できれば幸いです。

2024.05.14

不動産コラム

相続や投資によって空き家を所有している人々は、売却時にかかる税金の計算と節税に関する正確な情報を求めています。
空き家を売却する時には、さまざまな税金が発生し、それらを理解して適切に対処することが求められます。

そこで、今回の記事では、空き家売却時にかかる税金の基本と、確定申告を通じた節税のポイントをご紹介します。

□空き家売却かかる税金とは

1:譲渡所得税とは

空き家を売却する時には、主に譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、売却によって得られる利益(譲渡所得)に対して課税される税金で、所得税(復興特別所得税を含む)と住民税で構成されます。

譲渡所得の計算式は「譲渡所得=譲渡収入金額−(取得費+譲渡費用)」で求められます。

譲渡収入金額は、土地や建物を売却した時に受け取る対価の総額・取得費は売却する不動産を取得するのにかかった費用・譲渡費用は売却にあたってかかった費用を指します。

2:譲渡所得税の税率

譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間に応じて異なります。
所有期間が5年超の場合の税率は、所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%です。

一方、所有期間が5年以下の場合の税率は、所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%となります。

このように、空き家を売却する際には、売却益がある場合に限り譲渡所得税が課税されます。
売却によって損失が出た場合は、譲渡所得税を納める必要はありません。

また、所有期間が長いほど税率が低くなるため、税負担を軽減するためには所有期間を意識することが重要です。

□空き家売却に確定申告は必要?

空き家を売却した時の譲渡所得の計算には、取得費と売却費用の正確な理解が必要です。
特に、取得費には土地や建物の購入費用の他、取得時にかかった各種税金や仲介手数料なども含まれます。

また、建物については設備費や改良費を加え、減価償却費を差し引いた金額が取得費となります。

3:取得費の計算方法

取得費の計算には、以下の項目が含まれます。

・土地の取得費

土地購入費用に加え、購入時にかかった税金や仲介手数料などの諸経費を合算します。

・建物の取得費

建物購入費用・設備費・改良費に加え、減価償却費を差し引いて計算します。

4:売却費用の計算方法

売却費用には、不動産を売却する際にかかる以下のような費用が含まれます。

・不動産仲介会社への仲介手数料
・売主が負担する印紙税
・登記にかかった費用
・立退料や違約金など

これらの費用を売却時の譲渡所得から差し引くことで、実際に課税される譲渡所得を計算します。

5:確定申告の必要性

空き家を売却して利益が出た場合は、その利益に対して譲渡所得税が課されるため、確定申告が必要とされます。

一方、売却で損失が出た場合は、確定申告をすることで、他の所得と損益通算を行い節税可能です。
確定申告は、売却した年の翌年の3月15日までに行う必要があります。

このように、空き家を売却する際には、正確な取得費と売却費用の計算が重要です。
また、利益が出た場合には確定申告を通じて適切に税金を納めることが求められます。

さらに、確定申告を活用することで節税のチャンスもあるため、売却計画を立てる際にはこれらのポイントを念頭に置くことが重要です。

□空き家売却に必要な確定申告の流れ

空き家を売却した後、確定申告を行うことで税金の正確な計算と納付を行います。
このプロセスは、空き家売却によって得た譲渡所得に対して適切な税金を納めるために重要です。
確定申告の流れは以下のように進めます。

1:必要書類の準備

空き家を売却する過程で生成される売却契約書や領収書など、関連する全ての書類を集めます。
これらの書類は、譲渡所得の計算や、確定申告書の記入に必要な情報を提供します。
また、譲渡所得の計算には、不動産の取得費や売却に伴う費用なども含まれるため、これらの費用に関連する書類も準備する必要があります。

取得費には、不動産の購入時にかかった費用や改修費用が含まれ、売却費用には仲介手数料や広告費などが考慮されます。

2:税務署への書類提出

準備した書類を基に、確定申告書を作成します。
確定申告書は、売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に税務署に提出する必要があります。

提出方法は2つあり、1つ目はe-Taxを通じたオンライン提出です。
これにはデジタル証明書やマイナンバーカードが必要になる場合があるため、事前に用意しておきましょう。

2つ目は、直接税務署へ提出する方法で、郵送での提出も可能です。
どの方法を選択するにせよ、正確な情報を提供し、期限内に提出することが重要です。

3:納付

確定申告書の提出と同時に、計算された所得税を納付します。
住民税に関しては、確定申告後、各自治体から納税通知が届きますので、指示に従って納税してください。

税金の納付は一括、または分割払いが可能で、納付方法は納税通知書に記載されています。

□まとめ

空き家売却時の譲渡所得税計算と確定申告は、節税を図りながら法律に則った適切な税金の納付を行うために欠かせません。
確定申告のプロセスを通じて、譲渡所得に対する税金を正確に計算し、必要な書類を準備して税務署に提出することが求められます。

また、譲渡損失が発生した場合には、確定申告をすることで他の所得との損益通算を利用した節税が可能になります。
空き家売却を検討している場合には、これらのポイントを押さえ、計画的に対処することが重要です。

2024.05.04

不動産コラム

不動産相続は、多くの人にとって人生で1度は直面するかもしれない大きなイベントです。

しかし、不動産相続のプロセスには多くの不安や疑問が伴います。
相続手続きの流れや名義変更の方法など、複雑で分かりづらい部分も多く、初心者にはなかなか手強いものがあるためです。

そこで、今回の記事では、不動産相続における基本的な流れと名義変更の重要性、そしてその時に注意すべきポイントについてご紹介します。

□不動産相続の基本的な流れ

不動産相続にはいくつかのステップがありますが、その中でも特に重要な4つの手順を紹介します。

1:相続する不動産を確認する

まずは、相続する不動産が何かを確認することがスタートラインです。
不動産の所在地や権利関係は、登記事項証明書で確認できます。
また、不動産を所有している場合には、固定資産税納税通知書も重要な資料となります。

2:不動産を相続する人を決める

次に、不動産を相続する人を決定します。
遺言書がある場合はその指示に従い、ない場合は相続人同士で遺産分割協議を行います。
協議が成立したら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員で署名捺印を行います。

3:相続登記に必要な書類を集める

相続登記には、申請書のほかに、所有権移転を証明するための書類が必要になります。
具体的には、被相続人・相続人の戸籍謄本や遺産分割協議書等が挙げられます。

4:管轄の法務局へ申請する

必要な書類が揃ったら、相続した不動産を管轄する法務局に相続登記を申請します。
申請内容に問題がなければ、法務局から登記識別情報・登記完了通知が発行されます。

これらが、不動産相続の大まかな流れです。

不動産相続は、事前にしっかりと準備をしておくことで、スムーズに手続きを進められます。
特に、相続人間での話し合いは感情が介入しやすいため、事前に適切な知識を身につけ、冷静に対応することが重要です。

□不動産相続で名義変更をすべき3つの理由

不動産相続で名義変更を行うことの重要性を、3つのポイントで解説します。

1:法的保護を強化する

名義変更を行う最大の理由は、法的保護を強化するためです。
名義変更をしないと、相続した不動産に対して権利を行使することが困難になります。
例えば、不動産の売却や抵当権の設定など、名義人の同意が必要な行為を行えません。

これは、相続人の権利を保護するために非常に重要な手続きといえます。

2:相続トラブルの回避

名義変更を行うことで、将来的な相続トラブルを回避できます。
相続人間での合意があっても、それが法的に正式な形で記録されていなければ、後になってから意見の相違が生じることがあるためです。

そこで、名義変更を行うことにより、不動産に対する権利関係を明確にし、トラブルを未然に防げます。

3:財産管理の効率化

名義変更を行うことで、財産管理が効率的になります。

相続によって不動産の共有名義が発生した場合、各相続人が不動産に対して持つ権利は分散するため、不動産の管理や利用に際して複数の相続人の同意を得る必要があり、手続きが煩雑になることがあります。
名義変更によって1人の名義に集約することで、財産管理の効率化を図れるのです。

以上の理由から、不動産相続があった場合には速やかに名義変更を行うことが推奨されます。
特に、法的保護の強化・相続トラブルの回避・財産管理の効率化は、相続手続きにおいて非常に重要な要素です。
名義変更は複雑な手続きを伴う場合がありますが、専門家のアドバイスを得ながら正確に行うことが大切です。

□不動産相続で名義変更する時の注意点

不動産相続で名義変更をする際には、いくつかの注意点があります。
これらのポイントを把握しておくことで、手続きをスムーズに進められます。

1:税金の問題に注意する

名義変更の過程では、相続税や登録免許税、固定資産税といった、さまざまな税金が発生する可能性があります。
これらの税金は、不動産の価値や相続の状況に応じて変動するため、事前に専門家に相談することがおすすめです。

2:書類の不備による手続きの遅延

名義変更に必要な書類に不備があると、手続きが長期化する場合があります。
戸籍謄本や遺産分割協議書・登記申請書などの申請書類を用意し、書類に正確に記入した上で、必要な書類を揃えて提出する必要があります。
不備がある場合は、訂正を求められることがあるため、注意が必要です。

3:相続人間での合意形成

名義変更を行うためには、相続人間での合意が必要です。
遺産分割協議を通じて、不動産の名義変更に関する合意を形成する必要があります。

しかし、相続人間で意見の相違がある場合には、合意形成に時間がかかりやすいため、この点も名義変更の際の重要な注意点といえます。

□まとめ

不動産相続において、名義変更は非常に重要な手続きです。
税金の問題や書類の不備・相続人間での合意形成など、名義変更を行う際にはさまざまな注意点があります。
これらのポイントを正しく理解し、適切な準備を行うことで、名義変更をスムーズに進められます。

適切な準備と対応で、相続に伴うトラブルを未然に防ぎ、財産の適切な承継を目指しましょう。

2024.04.25

不動産コラム

相続によって手に入れた空き家は、そのまま放置していては管理費用がかかるだけでなく、税金の負担も大きくなってしまいます。
また、放置していると建物は老朽化し、価値も下がってしまう可能性があります。

そこで、今回の記事では、空き家売却時の費用と税金を抑えるための特例や手続き方法について解説します。

□空き家売却にかかる費用・税金を抑えるには

空き家を売却する時には、売却費用や税金を最小限に抑えることが重要です。
ここでは売却時の費用を抑えるコツを紹介します。

1:空き家の状態で売却するなら税金控除を適用させる

空き家を売却し、空き家の取得金額より売却金額が上回った場合、利益を得たということになり、譲渡所得税の支払いが発生します。
この時、利用できる控除が被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例です。

この特例を利用すれば、譲渡所得を最大3000万円までが特別控除となります。

つまり、3000万円以下の利益は譲渡所得税を支払う必要がなくなり、3000万円以上でも3000万円を引いた額に税金が発生するので節税になるのです。

2:相続した空き家なら3年以内に売却する

相続した家を売却しようと考えてる方もいるのではないでしょうか。

もし、相続をしてすでに1年以上経ってしまっている場合は、3年以内の売却を目指しましょう。
不動産を相続する際に相続税を支払っている場合、被相続人(亡くなった方)が死亡した日から3年10ヶ月以内に不動産を売却すると取得費加算の特例が使え、売却時に発生する税金を安く抑えられる場合があります。

3:空き家を解体して売却するなら補助金を適用させる

空き家の状態が悪い、なるべく管理の手間を減らしたいなどの理由で空き家を解体しての売却を検討している方は、事前に空き家解体の補助金について調べておくことをおすすめします。

各市区町村によりますが、空き家を解体する時、条件を満たせば解体費用の一部に補助金を出してくれるところがあるため、空き家が所在する地域にそのような制度がないか、事前に調べておきましょう。

□空き家売却に活用できる控除って?

空き家の売却に際して、相続空き家の3,000万円特別控除は非常に魅力的な制度です。
この制度は、相続により取得した空き家を売却する際に、譲渡所得税から最大3,000万円を控除できるもので、空き家問題の解決に貢献することを目的としています。

1:適用期間と要件

特に重要なのが適用期間と要件です。
相続日から起算して3年が経過する日の属する年の12月31日までに譲渡することが基本条件となっています。
この条件を満たすことにより、大きな節税効果を期待できるため、相続空き家の売却を考えている方は、この期間内に手続きを進めることが望ましいです。

2:建物の条件

また、適用される建物には条件があります。
例えば、1981年5月31日以前に建築された一戸建てが対象であり、相続開始の直前まで被相続人が居住していたことが条件です。
これらの条件を満たすことにより、3,000万円特別控除の対象となるため、該当する空き家をお持ちの方は、この点にも注意しておきましょう。

3:譲渡時の要件

空き家の譲渡時の要件としては、売却代金の合計が1億円以下であることや、耐震リフォームを行うなどして新耐震基準に適合する物件の売却であることなどが挙げられます。

これらの条件を満たすことで、相続空き家をより有利に売却可能になり、相続による税負担を軽減できます。

□空き家売却で控除を受けるための手続きとは

空き家を売却する時に、特例を使えると大きなメリットがありますが、その適用を受けるためには正確な手続きが必要です。
ここでは、特例を適用するための手続き方法を、順に解説します。

1:市区町村に申請を行う

空き家売却の特例を受けるためには、まず市区町村に申請を行うことが必要です。
申請を行うと、確定申告時に必要となる「被相続人居住用家屋等確認書」を取得できます。
申請時には、物件の売却・取り壊し・被相続人が老人ホーム等に入所していた場合など、状況に応じて異なる書類が必要なため、事前に確認しておくことが大切です。

2:確定申告を行う

空き家の売却における特例を適用するためには、確定申告が必須です。
確定申告は、売却を行った年の翌年、2月中旬から3月中旬の期間に実施しなければなりません。
特例の適用を受けるためには、事前に必要な書類を整えておくことが大切です。

これらの手続きを適切に行うことで、空き家売却時の特例の適用が可能となり、税負担を大幅に軽減することができます。

□まとめ

空き家売却にかかる費用や税金を抑えるためには、特例や手続き方法を正しく理解し、適切に活用することが重要です。
特に、相続空き家の売却に関する3,000万円特別控除は、大きな節税効果が期待できる制度です。

ただし、適用を受けるためには正確な手続きが必要となりますので、申請方法や必要書類については事前にしっかりと確認しておきましょう。

2024.04.20

不動産コラム

CATVは、多様な番組や安定したインターネット接続を提供することで、日々の生活を豊かにしてくれます。
そのため、賃貸での生活を快適にするために、すでにCATV(ケーブルテレビ)の利用を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、今回の記事では、CATVを賃貸で利用する時の手順や契約するメリット、そして注意点についてご紹介します。

□賃貸でCATVを契約する流れとは

ここでは、賃貸でCATVを契約する流れについて、対応物件の確認から契約までを簡単にご説明します。

1:対応物件の確認

賃貸アパートでCATVを利用するためには、まずCATV対応の物件かどうかを確認する必要があります。
まずは物件がCATVに対応しているかを、大家さんや管理会社に確認することが大切です。

2:チューナーの導入

CATVに対応している物件であれば、チューナーをレンタルまたは購入し、設置します。
物件によっては、元から設置されている所もあるため、物件探しの時点でCATV付きの物件を探してみても良いかもしれませんね。

CATV対応物件の場合、基本的にはケーブル設備がすでに整っているため、事業者との契約を経て、チューナーの導入が必要になります。

3:事業者との契約

事前準備が終われば、残りは事業者との契約を行い、必要な手続きを完了させる段階のみです。
インターネットや電話で簡単に契約できるため、チューナーの導入日に行える方は同日に行うのも1つの手です。

一方、CATV未対応の物件では、新たに工事を行う必要があります。
これには大家さんや管理会社の許可が必要で、物件によっては、別途、工事費用が発生することも覚悟しなければなりません。

加えて、住んでいる地域がCATVの対応エリアかどうかも重要なチェックポイントです。
対応エリア外では契約自体が不可能になる場合もあるため、契約前には必ず確認を取っておきましょう。

工事が必要な場合は、CATVサービスを提供する会社に申し込み、契約や工事の詳細を確認した後、施工日を決定します。
工事は専門の技術者が行い、機器の設置や初期設定もサポートしてくれるため、安心してCATVの利用を開始できます。

□CATVのメリット

CATVの利用は、賃貸アパートに住む人々に多くのメリットをもたらします。
通信障害の心配が少なく、豊富な番組を楽しめるだけでなく、インターネット利用にも優れた利点があります。

*通信障害の少なさ

CATVは有線放送であるため、地形や建物による電波干渉の影響を受けにくいです。
そのため、安定した品質でテレビ放送を楽しみたい方におすすめです。

*多様な番組の提供

CATVでは、地上波デジタル放送に加え、BSやCS放送などさまざまな番組を提供しています。
特定のジャンルに特化したチャンネルも多く、アニメやスポーツなど好みのコンテンツを楽しみたい方にもおすすめです。

*インターネットの利便性

CATVサービスを利用することで、高速インターネット接続も同時に享受できます。
そのため、リモートワークやオンライン学習など、インターネットが必須の活動にも対応可能です。

*物件によっては無料で利用できる

一部の賃貸物件では、CATVサービスが無料で提供されている場合があります。
このような物件を選ぶことで、追加の費用負担なしにCATVのメリットを享受できます。

また、無料で利用できなくても、多くのCATV事業者は、新規加入者や長期利用者向けに割引プランや特典を提供しています。
これにより、よりお得にサービスを利用できるのです。

□賃貸でCATVを利用する時の注意点

1:月額料金の確認

CATVを利用するには、月額料金が発生します。
料金はプランやサービス内容によって異なるため、事前に詳細を確認し、予算に合ったサービスを選択することが重要です。

2:通信速度の検討

特にインターネット利用を重視する場合、提供される通信速度を確認することが必要です。
多くのユーザーが同時にアクセスすると速度が低下することもあるため、使用状況に応じたプラン選択が求められます。

3:プランの柔軟性

一部の賃貸物件では、特定のCATVサービスの利用が義務付けられている場合があります。
このような状況では、利用者が望むサービス内容や料金プランに制限が生じる可能性があるため、契約前に詳細を確認することが大切です。

4:契約前の確認事項

CATVサービスを契約する前には、以下の点を確認しましょう。

・提供されるサービスの種類と内容
・月額料金とその他の費用
・提供される通信速度とその安定性
・サービス利用に関する制限事項や条件

このように、賃貸でCATVを利用する時には、メリットを最大限に享受するための注意点がいくつかあります。
これらのポイントを十分に理解し、適切なサービス選択を行うことで、賃貸アパートでの快適なCATV利用が可能です。

□まとめ

賃貸アパートでCATVを利用することは、多様な番組を楽しむだけでなく、安定したインターネット環境を手に入れる絶好の機会です。
契約の流れからメリット、そして注意点に至るまで、事前に情報を収集し、準備を整えることが快適な生活環境構築の鍵となります。

米子市周辺にお住まいの方で、もしくはこれから米子市で新生活を始められる方で、CATVの契約を検討されている方がいましたら、ぜひ当社までご相談ください。

2024.04.13

不動産コラム

賃貸物件からの引越しは、新生活への期待とともに、多くの手続きや準備に追われる忙しい時期です。
その中でも、特に退去時の立ち合いは、賃貸生活の終わりを締めくくる重要なプロセスですが、都合によっては立ち会えない方もいるかもしれません。

そこで、今回の記事では、そんな時でも安心して過ごせるよう、退去立ち合いの基本から、準備方法・どうしても参加できない場合の対処法までをご紹介します。

□引っ越し前の退去立ち合いって何するの?

退去立ち合いは、賃貸物件を引き渡す時に行われる重要な手続きのことで、主に室内の状態を確認し、必要な修繕や費用負担に関する説明を行います。
立ち合いの目的は、物件の現状を正確に把握し、入居中に生じた可能性のある損傷や変更点を確認することです。
ここでは、退去立ち合いの流れとその重要性をご説明します。

1:立場別、退去立ち合いの重要性

貸主側にとって、立ち合いは物件が原状に戻されているか、また次の入居者に提供するための準備が整っているかを確認する機会です。

一方、借主にとっては、適切な修繕が行われ、不当な費用負担を回避するための保証と活用できます。
特に、入居前に物件の状態を写真に記録しておくことは、後の確認で非常に役立ちます。

2:立ち合い当日の流れ

立ち合いは、引越し業者が全ての荷物を運び出した後、物件が空の状態で行われるのが通常です。

物件の担当者と一緒に室内を巡り、キズや損傷・設備の状態などをチェックします。
この時、指摘された点については、入居前からのものか、それとも入居中に生じたものかをはっきりさせることが求められます。
最終的には、両者が納得の上で修繕費用の負担について合意し、その証としてサインを交わします。

立ち合いは、賃貸生活の終わりにおける公正な手続きを保証し、双方の納得と理解のもと、スムーズな物件の引き渡しを可能にします。
したがって、借主はこのプロセスに適切に備え、貸主との間で良好な関係を維持することが重要です。

□立ち合い日までの準備

退去立ち合いに向けての準備は、新居への引越し作業と並行して進める必要があるため、計画的に準備を進めることで、スムーズに退去プロセスを終えられます。
ここでは、退去立ち合いまでに行うと良い準備について解説します。

*退去立ち合い日を決める

新居への引越し日が決まったら、次に行うべきは、現居を管理している不動産会社への退去通知です。
この時、退去通知が遅くなってしまうと、新旧両居の家賃が重複する期間が長くなり、余計な出費を招いてしまうため注意しましょう。

退去通知の時期にお悩みの方は、引越し日が決まってから速やかに立ち合い日の希望を伝えることをおすすめします。
また、立ち合い日は、引越し日と同じ日に設定することで、効率よく一連の手続きを完了させられます。

*部屋の掃除をする

退去立ち会いにおいて、部屋の清掃状態は重要なポイントです。
入居期間中に適切な掃除が行われておらず、カビや汚れが酷い場合には、修繕費用の請求が発生する可能性があります。
そのため、浴室のカビや水まわりの水垢・コンロや換気扇の油汚れなど、日常的に汚れの溜まりやすい箇所を重点的に掃除しておきましょう。

*退去立ち合いに必要なもの

退去立ち合いでは、原状回復についての確認が行われます。
賃貸借契約書や入居時に撮影した写真・返却する鍵などをあらかじめ用意しておきましょう。
これらを事前に準備しておくことで、立ち合い当日に慌てることなくスムーズに手続きを進められます。

□立ち合いに間に合わない時ってどうする?

退去立ち合いは、賃貸契約の終了に際して、物件の状態を確認し、修繕が必要な箇所を決定するために行われます。

しかし、予定の都合が合わず、どうしても立ち合いに参加できない方もいるかもしれません。
そこで、ここでは立ち合いに参加できない時のために知っておくと良いポイントを3つ解説します。

1:立ち合いに法的な義務はない

引っ越しに伴う退去立ち合いは、法律で義務付けられている手続きではありません。

ですが、立ち合いを行うことで、双方が納得できる修繕費用の決定が行えるため、原状回復や修繕費用に関するトラブルを避けるためには、参加することをおすすめします。

2:どうしても出席できない場合は代理人を立てよう

万が一、立ち合いに参加できない場合は、大家や管理会社に事情を説明し、日程の変更を依頼するか、信頼できる代理人を立てることが1つの解決策です。

ただし、代理人が了承した事項は、後から変更できないため、代理人には、退去に関する責任を持って立ち合いを行ってもらう必要があります。

3:立ち合いに参加できない場合の記録の残し方

立ち合い時に代理人も立てられない場合は、部屋の状態を写真に撮影して、証拠を残しておくようにしましょう。
これにより、後日、修繕費用に関するトラブルが発生した時に、入居時と退去時の物件の状態を証明できます。

□まとめ

退去立ち合いは、賃貸契約の終了時に行われる重要なプロセスです。
立ち合いに参加することで、原状回復や修繕費用に関するトラブルを防げます。

しかし、どうしても参加できない場合は、代理人を立てるか、証拠となる記録を残しておくことが重要です。
退去立ち合いに備えて、事前の準備をしっかりと行いましょう。

現在、米子市周辺にお住まいの方で、引っ越しやそれに伴う手続きについてお悩み方がいましたら、ぜひ当社までご相談ください。

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