実家は空き家になる前に処分した方が良いの?実家の処分方法と空き家のリスクとは

多くの国で問題とされている空き家問題。
その中でも、少子高齢化が急速に進んでいる日本では、空き家の増加が顕著で、特に実家を空き家として残す家族や相続人にとっては、それをどのように扱うかが大きな問題となります。

そこで、今回の記事では、空き家となった実家をどのように処分するか、その具体的な方法と売却までの流れ、空き家を相続することのデメリットをご紹介します。

□実家を処分する方法

空き家問題への対策として、多様な選択肢が提供されていますが、現実的な選択肢は限られています。
ここでは、実家を処分するための主な方法とその検討点について説明します。

1:売却

売却は、実家を市場に出すことで、土地や建物の価値を金銭的に回収できる主な方法です。
仲介業者を通じて行うと、適正な市場価格で売却できますが、市場の状況に左右されるため、不況時には思うような価格で売れないリスクがあります。
また、売却までのプロセスが長引くことも少なくありません。

2:解体

建物が老朽化している場合、解体して土地だけを売却する選択肢もあります。
土地の価値をより直接的に評価してもらえる可能性がある半面、解体には高額なコストがかかり、さらにその後の土地の固定資産税が上がるデメリットもあります。

また、解体後の土地の活用計画がなければ、単に負担が増えるだけになるリスクも留意が必要です。

3:貸し出し

実家を賃貸物件として貸し出すことで、定期的な収入を得られる可能性があります。
管理が行き届けば、資産価値の維持にもつながる一方、テナントの管理や建物のメンテナンスが必要となり、これには時間とコストがかかります。
また、入居者が見つからない期間は収入が途絶え、経済的負担が増える可能性もあります。

4:寄付や公共の利用

空き家を自治体に寄付することで、地域社会に貢献する方法もあります。
ただし、寄付した不動産は公共の施設として利用されますが、寄付は所有者にとって直接的な金銭的利益はありません。

また、寄付を受け入れるための条件が合わない場合、自治体が受け入れを拒否することもあります。

□空き家を売却するなら知っておきたい売却までのステップ

空き家となった実家の売却は、計画的に進めることが重要です。
ここでは、空き家の売却を効率良く進めるために知っておきたい、7つのステップをそれぞれ簡単にご説明します。

1:遺産分割について話し合う

相続が発生した場合、まずは相続の権利のある人で遺産分割について話し合います。
この時、誰がどの資産を相続するかを決定し、特に不動産の扱いについては慎重な議論が求められます。
直接会う以外にも、メールやリモートツールを使って話し合いを進める方法はあるため、遠方の縁者の方でも場所を問わずに参加できます。

2:名義変更と登記手続き

実家の名義を相続人に変更するためには、相続登記が必要です。
この手続きを進めるためには、法務局や司法書士との連携が不可欠で、名義変更後に、不動産の売却活動を開始可能になります。

3:仏壇や遺品の処理

実家からの仏壇の移動や遺品の整理は、内覧前に完了しておくべき作業です。
特に仏壇は、適切な方法で移動させる必要があり、これには専門的な手続きが伴います。

4:境界確認作業

土地の境界確認は、隣地とのトラブルを避けるために重要です。
確定測量を行い、必要に応じて法務局に境界変更の登記を申請します。
この作業には、専門家の立ち会いが必要なため、独断で行うのは避けましょう。

5:価格査定と市場分析

不動産会社に依頼して、実家の価格を査定します。
査定は、周辺地域の市場価格や土地の特性を考慮して行われ、最適な売出し価格を決定します。

6:売却活動と契約

適切な売却価格と販売戦略が決定された後、不動産会社は積極的な売却活動を展開します。
購入希望者が現れた場合は、条件交渉を経て売買契約を締結します。

7:クロージングと引渡し

売買契約が成立し、すべての法的手続きが完了した後、最終的な決済と物件の引渡しを行います。
この段階で、売却までの流れは正式に終了します。

□親の生前に処分できずに空き家を相続するとどうなる?

空き家を相続することは多くの場合、避けるべき状況ですが、しばしば避けられない事態として発生します。
ここでは、空き家を相続することになった場合に直面する可能性のある複数の問題と、その解決策について解説します。

1:固定資産税の増加

空き家の相続には、固定資産税の増加が伴います。
建物が存在しない更地の場合、固定資産税が上昇するため、経済的な負担が増大します。

2:維持管理の問題

空き家は定期的な維持管理が必要ですが、放置されると急速に劣化します。
この維持管理には時間とコストがかかり、しばしば相続人の負担となる場合があるため、注意が必要です。

3:犯罪や事故のリスク

空き家は犯罪の対象となりやすく、不法侵入や放火のリスクがあります。
これらを防ぐためには、定期的な巡回や適切なセキュリティシステムの設置がおすすめです。

4:地域社会との関係

空き家は地域社会においても問題視されることが多く、近隣住民とのトラブルに発展することもあります。
地域のイベントや自治会などに積極的に参加し、良好な関係を維持する努力が求められます。

□まとめ

実家を相続する際には、それをどのように処分または利用するかを慎重に考慮することが重要です。
空き家のまま放置すると、法的・経済的・社会的なリスクが増大するため、売却や賃貸、時には解体といった適切な処分方法を選択することが望ましいです。

今回の記事で紹介した内容を参考に、空き家の処分方法について改めて見直してみましょう。

監修者情報

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アーバンネットワーク株式会社
松本 幸治

代表挨拶